マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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これから気を付けるべきこと ~コロナが変えた生活~

首都圏と北海道で継続されていた緊急事態宣言が解除されました。当然、まだ感染力を持つ人が国内にいることは間違いないので、人出の増加とともに小さな流行が繰り返すことが想定されます。

特に秋から冬にかけて気温・湿度が下がるころはウイルスの活動性も再度上昇するので注意が必要です。

さて、今回は2つのテーマでお話ししたいと思います。

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気になるニュース

超過死亡続報

例年日本国内でインフルエンザが原因で亡くなる方は3000人と言われています。また、直接的ではないがインフルエンザにかかったことも一因で亡くなる人は1万人にものぼるという報告もあります。

ところで、この1万人ってどうやってはじき出したのでしょうか?それがまさに超過死亡という概念です。インフルエンザが流行していないと仮定した場合の想定される死亡者数と比べて何人多く亡くなったかと言うのが超過死亡です。

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以前、アメリカのBloombergの記事をご紹介しました。東京都の超過死亡について記事にしており、2月は例年より -1200人、3月は+428人だったことから、「感染拡大の中で超過死亡の急増は見られない」と結論づけていました。

今シーズンは多くの国民の方が感染予防意識が強く季節性インフルエンザも早々に終息しました。これによりインフルエンザによる死亡者数をも減らしたことが大きいです。

で、今回この続報が出てきて、騒いでいる新聞があり、「どうせ朝〇新聞だろう」と思いきやまさかの日経〇聞でした。(あ、隠すとこ違うかw)

 

日経〇聞の報道

「コロナ感染死、超過死亡 200人以上か」

と題して記事を出しています。中身も読みましたが、記事自体はさほど悪意は感じませんでしたが、タイトルがちょっとミスリードですね。

要はコロナ感染が国内で問題になり始めた、2月~3月で東京都で超過死亡が見られるからコロナの死亡者はもっといる!プラス200人くらいいるのではないか!という主張です。

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国立感染症研究所HPより引用

これも前回紹介した図です。国立感染症研究所が出した東京都の超過死亡のグラフです。2月から3月はこの図では2020年の第5~13週のところになるわけですが、この部分で青のプロット(点グラフ)がピンクの線より上回っていますね。

これは定義上、超過死亡となります。ここの合計が200人くらいです。で、実際2-3月に東京でコロナで亡くなったとされる方がたしか8人なので、その差の190人ほどが「本当はコロナで亡くなっていたんじゃないか」という推論です。

ま、そこまでは正しいです。あとはこの200とか190という数字をどう読むかなんですね。「死者数隠蔽」ですか?「ただの誤差」でしょうか?

 

日本で超過死亡は認めていない

まず『日本隠蔽論』のミスってるところは2点あります。

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もし、日本政府が死亡者数を隠蔽するならば、当然全国的に同時期に ”超過死亡” が出てくるはずですね。これに関しては国立感染症研究所がホームページで明言しています。

(全国的に)対象都市では超過死亡は観察されませんでした

はい、これに尽きます。

さらにもう一つ、②ですが、今年だけのデータで語っているのがマズいです。実は東京は毎年ほぼ1年中超過死亡が出ているんです。しかも、今年はここ数年で一番死者が少ないんです。

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国立感染症研究所HPより

一番右端が今年(2020年)ですね。青いプロット(実際の死亡者数)を見れば一目瞭然。東京都では毎年超過死亡がある上に、実際の死亡者数は例年より少ないですね。

逆に東京の毎年の死亡者予測が甘いような気がしますね。人口動態などと乖離しているのかもしれません。ま、その辺の修正は統計学の先生方にお任せしましょう。

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はい、こういうメディアの必殺『切り取り偏向報道』はそこら中にあるので気を付けましょう。日経〇聞さんにしては珍しいですが。

 

これから気を付けたいこと

コロナで変わった日常

気温も上がり、夏が近づいていることを感じる日々ですが、コロナウイルスはまだ完全に終息したわけではありません。引き続き、感染症予防を続けなければなりません。

まず、韓国で集団感染を出したクラブですね。これは何度も言っていますが、防音設備のある所はかなり気密性も高いので「3密」となりやすいです。再開したとしてもまだ避けておくのが無難でしょう。(大人数のカラオケも…)

そして、マスクですね。みなさん、マスクをされておりますが、暑くなってくると熱中症にも注意が必要となります。とにかく熱中症予防で水分補給はしっかりと行いましょう。

また人混み以外ではマスクを外すなども覚えておきましょう!

テレワークが進むかもしれませんね。日本は基本的に何をやるのも遅いことについては以前お話ししました。これを機に、「意外と在宅でできるやん」というものが増えたのではないでしょうか?

あとは印鑑文化ですね。印鑑が必要だからテレワークできないなんてこともニュースになっていましたね。印鑑は文化ではありますが、国際標準ではありませんのでビジネスの世界では少し考えてもいいかもしれません。

日本の政治が遅いワケ

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テイクアウト

今回のコロナ感染の拡大で、今までテイクアウトを行っていなかったお店も参入し始めましたね。テイクアウトに慣れていないお店が増えることで懸念されているのが、食中毒なんです。

お店で食べるときは、作られたものをすぐ食べるので菌が増殖する時間がありません。しかし、お弁当となると食べるまでの間に菌が増えるわけです。

食中毒は、作る側がかなり気を使っていれば大きく可能性を減らせます。

しかしながら、何事も始めたばかりは慣れないことも多いということは我々も経験からわかっていますね。これは私たち消費者はどうしようもない部分です。

ですから、私たちができることを考えてみましょう。

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菌が増える重要なポイントがあります。それは温度水分です。20℃を超えてくると菌が増殖しやすくなります。あとは時間とともに増殖するわけです。

私たちが避けれるポイントは、商品選びとすぐ食べることです。

僕が気にしているのは、屋外でテントとかで売っているお弁当です。危険とまでは言いませんが、作られてどれだけその温度で置かれたのか不明なので避けます。クーラーボックスで温度が適切に管理されているならいいかもしれません。

あとは、生もの生焼けによる食中毒が増えるのもこれからの時期です。個人的にはなるべく刺身などの弁当は避けています。揚げ物の下に敷かれた生野菜も食べないようにしています。

テイクアウトしたものはとりあえず即食べることでリスクを減らせます。すぐ食べれないなら冷蔵庫へ入れましょう。

ユッケがなくなった理由は

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最後に

思えば学生時代お弁当を持って通学していましたが、食中毒なんて考えもしなかったです。保存も常温で、作ってから何時間も経ってから食べる、今思えば怖いですね。

昔から、お弁当を作るときに気を付けることをお母さんたちが受け継いできてくれてたんですね。感謝です。

日本古来の日の丸弁当!梅干しにはクエン酸が入っていて弁当箱内の殺菌効果があるようです。うまくできていますね

 

では、また(^^♪