マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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Staycationでゆっくりと ~冷静に状況と向き合おう~

Staycationという言葉を聞いたことはありますか?

これは stay vacationからできた造語なのですが、要するに休暇を遠出するのではなく家またはその近場でゆっくり過ごすことです。似た言葉で holistay なんて英語もあります。

今年のゴールデンウィークは Staycation になりそうですね~

今回もいくつかのニュースについて見ていきましょう

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6%と14%

抗体検査につていは前回も触れましたが、要はコロナに既感染しており、抗体を持っているかを調べる検査です。PCR検査は基本的には現在感染している人を見つける検査ですので性格が違います。

抗体検査についてはコチラ

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抗体検査の問題点としてはPCR検査よりも精度が落ちます。しかしながら、抗体検査は15分ほどで診断がつくこともあり、PCRよりハードルがかなり低いわけですね。

アメリカでは一足先に始まっております。その中でニューヨークの抗体検査では、3000人の一般の市民で検査したところ14.9%の陽性率を示したそうです。

 

日本では慶応大学病院が症状のない別疾患の患者 67 人に(もちろん同意を得て)こちらは抗体検査ではなくPCR検査を行ったところ 5.97%の人が陽性と出ました。こちらは全体数が少ないのでそこまで説得力のあるものではありませんが、無症候感染を見るデータとしては参考になりそうです。

まとめると、慶応大の結果からは街中にだいた6%位の人が症状なしに現在感染しており、ニューヨークのデータからは15%位の人が現在または過去に感染して抗体を持っているというザックリとした推測ができるわけです。

今後、抗体検査を日本でもやることになっていますが、この結果により日本国民のどのくらいの人が免疫を持っているのかがわかり、経済活動再開の目安にはなりそうですね。

 

韓国の状況からわかること

以前韓国式のやり方は日本ではマネできない旨、書きました。

韓国式は日本では無理

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要はMERSのときに一通りの整備ができていた韓国は検査も早く、数もたくさんできたわけです。さらに兵役代わりの公衆保険医が家庭訪問したり、ドライブスルー検査で検査を行い、さらに、個人情報利用して陽性者の位置情報を知らせたり、接触者を携帯電話などから割り出したり、監視により陽性者の徹底した隔離という方法をとれたわけです。

これは 国の違い です。日本ではこんなこととてもできません。

ちなみに「韓国ではだれでも検査できる」と思っている人が多いですが、総検査数は日本より全然多いですが、全国民の1%です。

しかし、韓国の今の状況はかなり参考になると思います。今の韓国は新規感染者数が毎日1桁しか出ていません、それで、みんな元通りに近い生活になっているのです。

つまり、一回徹底的に封じ込めて、急速な感染拡大を抑え込めば、韓国の今のような状態になれるということです。ゴールデンウィークのstaycationは重要です!!

日本も今回のことを教訓にまた10年後くらいにあるであろうウイルス変異による感染症に備えるべきですね

 

退院者数

さて、東京では1日の感染者数が少し減ったように思ってたら04/24はまた160人の感染者が速報で出ていましたね。

ところで、感染者って毎日出続けるから絶対に減ることはありません。ただ、「入院患者」というのは減りもするわけです。そう、退院するからです。

そこについてはほとんどのメディアはなぜかスルーしますよね。

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東洋経済オンラインより

左のグラフは現在の入院治療の患者を表しています。当然、軽症で入院の人は一定の条件を満たして退院(またはホテルなどから退去)するわけですから、【現在の患者数】は減ることもあるわけです。傾向としては減ってきていますね。

右のグラフは退院者数です。4月に入って感染者が増えて入院も増えていましたが、それらの軽症の人たちが退院(またはホテルなどからの退去)し始めたので、退院者数はいま増えています

 

東京の感染者数

東京の感染者数がまた増えた!」と速報で言われており、皆さんせっかくの自粛ムードが一気にドンヨリしますよね。個人的にはなんで東京だけ特別扱いするのかわかりません。(東京への嫉妬ではないですよw)

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東洋経済オンラインより

他の地域にも目をやりましょう。東京と大阪の感染者数のグラフです。ま、東京も1回下がってますが最後に少し増加ってとこでしょうか。一方、大阪は増えていませんね。

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東洋経済オンラインより

同様に兵庫県と福岡県でもここ最近特に増えていません。

速報では「東京都で新たに〇〇人の感染者」となるので増えてきた気になりますが、全国的に見たら確実に減っています。メディアの【見せ方】の問題ですね。

あ、もちろん神奈川や北海道で少し増加したのは把握してます。首都圏だけ微増したと考えられますね。

検査数が減ってるからではないかという指摘もありますが、それは検査に回す基準を変えていないとして、”高確率で疑わしい人”が減っていれば検査数も減ります。

意図的に少なくしてるかと言われてますが、それはわかりません。誰にも証明できませんから。

危険なのはこれからの連休です。ここでせっかくの減少傾向が容易にリバウンドしえます。

 

重症率と致死率

毎度おなじみのRT-PCRの検査の陽性率は今回の計算では8.75%でした。あまり変わりなしです。(下図参照)

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厚生労働省HPより

続いて重症率や致死率も見てみましょう。

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厚生労働省HPより

重症率は横ばい、致死率が上がりましたね、この1週間で150人ほど亡くなったので致死率が急に上がりました。重症者の割合は少ないものの、入院期間が長期になります。つまり、入院中の重症者は増えていき、重症用のベッドがいずれいっぱいになることも想定されます。そのときが少し怖いですね。

もちろんうれしい話もあります。退院した割合は20%を超えました。(注:死亡退院も含まれます)。あと、重症から軽症・中等症に脱した人も60人弱の報告があります。

 

高温・多湿・紫外線

これは以前の記事でも話しましたがアメリカの研究で今回のコロナウイルスが高温多湿感染力が弱まることが分かっています。

そして、今回アメリカ政府が発表したものは、気温22度湿度が80%で夏の紫外線を受けると物の表面にいるコロナウイルスは2分間で半減するということです。

日本では5月以降に紫外線が増えますね。気象庁のデータでは東京では平均湿度は5月に70%を超え、6月は梅雨で80%超えます。

少しほっとするニュースですね。しかし、インドネシアなど高温多湿でもコロナ流行しているので、あくまで一つの要素として考え、手洗いやsocial distancingはしっかりと行いましょう。

 

P.S.

①ここ最近、長野などで関東を中心に全国的に地震が増えています。コロナの話題で持ちきりですが地震情報にも注意する必要があります。本当に厄介な時期ですね。

 

②今回のコロナウイルス感染症で若い30-50代の若い方の脳梗塞が増えていることがわかりました。ウイルスが身体中を回り(敗血症)となると血栓を作りやすくなります。これをDICといいます。

このウイルスはACE-2受容体という扉に引っ付いて細胞内に入りますが、肺だけでなく血管にもこの扉があり血管への傷害もわかってきました。恐ろしいウイルス。