中国の女子テニスプレイヤーの彭 帥(ポン・シュアイ)選手(35)の性的暴行告発から1か月以上の時が過ぎました。なぜか中国政府関連のツイッターで彼女の安否を表すメールや動画が公開され、そこにIOCのバッハ会長が出てきたり。
今回はこの一件の裏側を見ていきましょう。
彭 帥の告発
11月の2日に微博(Weibo)で前の副首相である張 高麗(75)による性的暴行と、その後の十数年以上続く不倫関係について投稿しました。75歳という”超高齢?”の"張 高麗"と自宅で奥さんの目の前で関係を持っていたとか衝撃ですね(笑)
さて、中国の情報統制はかなり厳しく、中国政府に不都合なものは検索や投稿できません。このシステムは金盾と呼ばれます。
例えば、中国政府が歴史から消し去りたい天安門事件に関するキーワードや、習近平をイジる『くまのプーさん』なども検閲対象です。
さらに、中国に行った人ならご存じ、TwitterやLine、Googleは基本的に使えません。監視できるように作られた微博やWechatが代替品です。
失踪後、世界中で彼女の安否を心配する声が高まると、国営メディアの編集長がTwitterで動画を投稿し、彭 帥の健在をアピールしています。国民はTwitter使えないので見れません(笑)つまり外国向け。
いずれにしても、必死で国が代わりに彼女のメールを載せたり、動画を載せて「元気」アピールしてる時点でめちゃくちゃ怪しいですよね。ま、監視下に置かれて、軟禁状態とか?・・・ま、知らんけど
なぜいま?
さて、彼女は不本意な関係を十数年続けてきました。なかなか言い出せなかったでしょう、政府の高官で、告発などしようものなら・・・復讐が怖いですもんね。
では、なぜ今回はできたのでしょうか?
いくつか思いつく理由(上図1~4)を考えてみました。
当然、1は論外でしょう。なので、2~4で考えてみると、要は、『復讐』を恐れる理由がなくったから告発したと考えるのが素直ですね。
まず、2なんですけど、彼が引退したのは2018年なので理由にはなりませんね。
そう、おそらく3と4の合わせ技だと思います。もしかしたら、4も逆で、何者かに脅迫されて告発したという可能性もありますね~
張 高麗について
では、この告発されているおじさんについて見ていきましょう。
ザックリ言うと、貧しい農家で育った少年が、国の副首相にまで出世するサクセスストーリー。もちろん、政界で力を得るには、品行方正で、あらゆる局面で『長いものに巻かれる』必要があります。
江 沢民にかわいがられていましたが、次に胡 錦涛が国家主席になると、手のひらを返して忠誠を誓ったわけです。こうして、副首相にまで昇りつめ、チャイナセブンの一人になったのです。
2018年に引退しましたが、中国では引退後の政治家も監視対象となります。
彭 帥 の後ろ盾は誰か
先ほどの仮説に戻ってみましょう。「強い後ろ盾」ができたから今、告発したというものですが、誰でしょうか?張 高麗よりも力のある人間・・・
その人間が彭 帥に張 高麗の告発をさせたのでは?
というのも、共産党に不利な投稿などは通常、一瞬で削除されます。なのに彼女の微博での投稿は30分以上閲覧可能だったそうです。
わざと、広めさせた可能性がありますね。となると、それを許せる権力がある人は・・・もちろん習 近平でしょうね。
腐敗撲滅運動
習 近平の肝いりの政策は共産党内の浄化です。
賄賂などが横行する中国社会で、共産党内の浄化という一見耳障りのいい政策ですが、実際は別の派閥の議員を排除するための口実*1と考えられています。
彼自身は、個人崇拝と終身統治を目標としています。国家主席になって以降、敵対する派閥の大物はどんどん排除してきました。
その敵対派閥というのは前の国家主席・胡 錦涛の派閥です。おや、繋がりましたね。
張 高麗は江 沢民の寵愛を受けていたけど、胡 錦涛が国家主席になると『忠誠』を誓ったのでしたね。そう、胡 錦涛派閥(=共青団派)なんですね~。
張 高麗は2018年に引退はしたもののまだ陰で影響力を持っているのです。
終身統治
どんどんと政敵を排除してきた習近平のもう一つの野望は終身統治です。
そのために憲法もチビチビ変えてきました。2018年に国家主席の任期を無くしました。つまり、選ばれればいつまででもリーダーでいられるわけです。
もうすでに、強大な権力を手にしている習 近平ですが、入念に政敵はつぶしているんですね。
そして、彭 帥が告発をしたのは11月2日ですが、その後に大きな政的イベントがありました。その名も6中全会。この会議の中で『歴史決議』が採択*2されました。
要は、この歴史決議で自らの権力をさらに固めるわけですが、これに際して「余計な邪魔はするなよ!」という警告でこのスキャンダルが使われたのでは?これは、ジャーナリストの石平さんもそのように*3おっしゃっています。
予想外の展開
しかし、本当に習 近平がこれをしていたのなら、かなりミスりましたね。
もちろん、国内での歴史決議は予定通り採択され自らの権力を強めましたが、国際社会にこの問題が飛び火してしまいました。
ウイグル族への弾圧や香港、台湾での横暴さに欧米ではすでに北京五輪ボイコット案が出ていたところで、火に油を注ぐようにこの事件が取りざたされました。
北京五輪を絶対開きたいのは中国だけでなく、IOCもそうです。だから、バッハ会長が出てきて、彭 帥とビデオ通話とかいう茶番をやってましたね。(笑)
▼オリンピックとお金▼
外交的ボイコット
アメリカ、オーストラリア、イギリス、カナダ、ニュージーランド、リトアニアの6か国は、北京五輪に対する外交的ボイコットを表明しています。要は選手は送るけど、”祝賀”の意での高官らの派遣はしないというものです。
そう、これらの国を見ると、主にFive Eyesの国々です。中国の海洋進出を非常に警戒しており、日本も参加させてSix Eyesにしようという話まであります。
Five Eyesとしては中国への強いメッセージとして同盟国の足並みを揃えたいところですが、日本はどうするでしょう?
これらの国と違って日本は中国と近いので、経済的結びつきも強いので、即断はできないのは事実でしょう。しかし、それだけではありません。
岸田総理は地元・広島の日中友好協会の会長で、林外務大臣はつい先日まで日中友好議員連盟の会長でした。
まだ他にも判断が難しい理由があります。
公明党との連立与党
公明党は中国共産党が認める『親中』政党*4であり、公明党が与党にいることは中国にとってはいいことなのです。
公明党は皆さんご存知のとおり、とある宗教の勢力ですね。そこの宗教は日本屈指の親中*5で有名です。
ところで、自民党は公明党と組まなくても与党になれますし、先日の選挙を見ると、日本維新と組んだ方が思想的にも、議席数的にも有利に思えます。
ま、ここは難しいんでしょうが、宗教ゆえの『集票力』があるようで、うまく選挙協力していることも自民党にとってはメリットが大きいんでしょうね。
こういった事情で日本政府は中国に強硬な姿勢はとりにくい?とも考えられますが、やはりアメ様を怒らせるとマズいので、最終的には折衷案で『感染対策』を理由にして行かない?とかなるんでしょうか。
さいごに
彭 帥選手の告発投稿、その後の失踪。
この時期に起こった政治的イベントを考慮すれば、裏で手を引いていたのは恐らく習近平でしょう。もちろん、彭 帥選手は『保護』されており、拷問とかされることはないでしょう。
しかし、自国で絶対的な権力を手にするために利用したこのスキャンダルが、中国にフラストレーションの溜まっている国々が利用し、五輪の『外交的ボイコット』の方向に進んでいます。
今後の落としどころが気になりますね~
では、また(^.^)ノ
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