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最後の悪あがき?文在寅保護法とは

韓国の尹 錫悦(ユン・ソギョル)氏の大統領就任が5月10日に迫る中、韓国内ではある法案について話題となっています。

今回はそれについて学んでいきましょう。

文 在寅保護法

退任が迫る中、文在寅保護法という言葉を目にする機会が増えています。

僕の記憶ではこの言葉は2021年8月に言論仲裁法のときに最初に記事*1で見かけました。

文 在寅保護法 -言論仲裁法-

昨年、文大統領の属する与党:共に民主党がゴリ押ししたのが、この言論仲裁法の改正です。要は、フェイクニュースには厳しく罰するように変更するという案です。

もちろん、コロナ禍でもデマなどがあふれ迷惑なので取り締まってほしいですが、これを国が法律にすると、ある問題が生じます。そう、言論統制です。

言論統制につながりかねない

政府が自分たちに都合の悪いことは『虚偽』としてそのメディアを罰することができるのです。これにはマスコミは大反対、朝鮮日報は『言論懲罰法』*2と揶揄しました。

この改正案は結局のところ立ち消えました*3

文政権の批判は許さない

正直なところ、日本でもメディアの偏向報道はひどいし、明らかな『虚偽報道』や『歪曲報道』に対しては規制するのはいいのではと思っています。ま、メディアは必ず反発しますがね。

しかし、権力による言論弾圧は絶対に許されません。

韓国で、言論仲裁法改正の話は流れたものの、実際に文政権へ批判をすると弾圧を食らうことがあります。

大統領が一般人を告訴

大統領への侮辱は許容すると言っていた文大統領ですが、2021年4月、文政権を批判するビラをまいた一般人、キム・某氏を『大統領侮辱罪』で告訴*4しました。

それだけでは終わりません。

政権批判の局長を罷免

2021年8月、韓国文化体育観光部の局長が文政権をSNSで批判しまくったところ、罷免*5されました。理由は、『誠実義務』『品位維持義務』の違反とのこと。謎w

その後、1年半に及ぶ裁判の果て、罷免取り消しとなりました。

そうです、既にこのように言論統制を行っていました。

新たな”文 在寅保護法”

そして、今言われている新たな文 在寅保護法は、検察捜査権廃止法案です。検察の捜査権をはく奪しようとするものです。

韓国の検察はめちゃくちゃ力があります。検察共和国なんていう表現もあります。捜査権と起訴権を持ち合わせており、すごい権力です。

だからこそ、韓国ドラマで検察がよく出てくるんです。

知り合いの韓国人の意見

仲のいい韓国人のお兄さんがこのように言っていました。

言っていることは同意しますが、その検察が次期大統領のために動いているところは全く健全ではないです。検察のトップを選ぶ権限は大統領にあるからです。

つまり、大統領の言うことを聞く人が検察を指揮するので、大統領の任期のうちは捜査されません。でも、大統領が代わると、検察が前の大統領を捜査して逮捕するんです。

韓国の大統領の末路

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大統領と検察

韓国の大統領は日本の総理大臣とは比べ物にならないくらい権力が強いです。

それゆえ、その権力に親戚や知人が寄ってきて、甘い汁を吸いに来ます

一方、検察も捜査権と起訴権と両方持っており、権力が強いです。しかし、そのトップである法相を選ぶのは大統領です。

尹 錫悦氏は元検察総長

次期大統領の尹 錫悦氏は元 検察総長でした。正義感が強く、不正は許さない人です。すると、文大統領の側近のタマネギ男を捜査をして不正を暴きました。それに激怒した文大統領は尹 錫悦氏を左遷させました。

まさか、そんな彼が次期大統領になろうだなんて、想定していたでしょうか?

退任後の心配

ここまでで話は見えると思いますが、今回の大統領選で政権交代が起きたわけです。

となると、まずは前任大統領のアラ探しが最初の任務です。そして、いかに前政権が腐っていたかを国民に示します。

そうなると、文大統領はおそらく。。。

共に民主党のトラウマ

文大統領の師匠である、盧 武鉉氏は政権交代後の検察の厳しい追及に耐えられず命を絶ちました*6

なんとしても退任前に検察の捜査権をはく奪しておきたいと思っているでしょうね。

しかしですね、そもそもやましいことがなければ別にそんなに焦る必要ないんです。

やましいことある?

では、文在寅大統領はやましいことはあるのでしょうか?大きな疑惑を2つ紹介します。

まず不動産の問題があります。2009年に慶尚南道約9000万円で購入した不動産を2022年に売却しましたが、その額が約2億7000万円と3倍になっていた*7のです。

不自然な不動産価格は『賄賂』?

その期間に周囲の不動産価格は大きく変化がありませんでした。

さらに誰が買ったかも明らかにされていません。これについては『賄賂』の疑惑があります。

そして、文大統領の奥様である、金 正淑(キム・ジョンスク)さんの高級服やアクセサリーを『大統領府特殊活動費』で買わせた疑いがもたれており、警察が捜査*8しています。

金 正淑夫人の高級衣服は公費使用?

任期の5年間のうちに、178着の衣装と207個のアクセサリーが確認*9されており、総額は数億円にのぼるという分析もあります。

これを自費で買ったと主張していますが、大統領の年収が2500万円くらいですから、さすがに。。。

さいごに

いかがでしたか?

文在寅保護法と呼ばれる法案2つについて解説しました。

その中で今回話題になっているのは、韓国の検察の捜査権をなくしてしまおうというものです。韓国では検察には大きな権力がありますが、その検察を動かせるのは大統領です。

政権交代が起こってしまうと、次期政権に忖度して、検察は前政権を徹底的に捜査します。なんとしてもそれを阻止したいのが今の動きということですね。

では、また(^.^)ノ