マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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ジングル・オール・ザ・ウェイ☆

Merry Christmas!

サンタクロースの元になったのは、キリスト教司祭:ニコラオスである*1といわれています。その伝説からオランダで、シンタクラース(聖ニコラオス)という神話があり、現代に伝わっています。

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シンタクラース

サンタが赤い服を着ているのはコカ・コーラのCMのせい?なんて都市伝説もありますが、それは嘘です。詳しくは過去記事ご参照ください。

コーラとサンタ

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それは、さておき、今回のテーマはジングル・オール・ザ・ウェイです。

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ジングルベル

ジングル・オール・ザ・ウェイという言葉でまず思いつくのはあの有名な歌、ジングルベルではないでしょうか?クリスマスソングの定番ですね。

でも、あれ、クリスマスの歌じゃないって知ってましたか?

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ジングルベルの歌詞

歌詞を見てみると one-horse open sleigh、つまり『1頭ののソリ』と出てきます。

そうなんです、元々この曲は19世紀に11月後半のサンクスギビングデーのために作られました。内容は冬に子供たちがソリで競争するものです。あまりに評判がよく、サンクスギビングが終わった後のいわゆる”クリスマスシーズン”にも歌われるようになったのです。

ブラックフライデーとは

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日本語の歌詞は『今日は楽しいクリスマス』とありますがこれは日本仕様ですね。笑

ちなみに、サンタクロースの乗るソリは国や地域により馬だったり、トナカイだったり、ソリでなく魔女のようにほうきに乗るなど色々伝説があるようです。

映画 Jingle All the Way

子供の時に見た映画で今も記憶に残っているクリスマス映画は、ジングル・オール・ザ・ウェイです。ターミネーターでおなじみのアーノルド・シュワルツェネッガー主演のコメディー映画です。

主人公ハワードは仕事熱心で息子の空手の発表会さえ忘れてしまい、息子はカンカン。そんな息子と仲直りのためにクリスマスプレゼントで子供に人気の"ターボマン"のフィギュアを買ってあげると約束します。

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映画『ジングル・オール・ザ・ウェイ』

しかし、忙しさにかまけて予約をド忘れ、当日慌てておもちゃ屋をめぐってターボマンフィギュアを探しますが、どこにいっても品切れ。

しかし、失った息子からの信頼を回復するために必死な父親。

幾多の難関を乗り越えて最後は息子に無事プレゼントできたかっこいい父親でしたが、感動した奥様から「私のもあるんでしょ?」と聞かれて、Oh, my God というオチ付きのコメディー映画です。

面白いので、興味あれば一度見て見てください♪

おもちゃの心理学

で、この映画の中で、シュワちゃんとともにクリスマス当日に息子にフィギュアを買おうとしていた郵便局員がいるのですが、彼は学生時代に心理学を専攻していたと。

そして、おもちゃのクリスマス商戦には”陰謀”が仕組まれているんだと明言しました。

はい、今回はこのお話です。前置き長っ。笑

クリスマス商戦では、人気商品は売切で入手困難だったり、値上げされていたりします。これについての心理学を解説した記事*2を紹介します。

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クリスマス商戦の心理学

これ、まさにジングル・オール・ザ・ウェイで描かれていた内容ですね。それでは詳しく見ていきましょう。

1.『欠乏』の恐怖

人間は食べ物だろうが、愛情だろうがどんなものでも『不足』や『欠乏』することを非常に恐れ、過剰な反応を示す動物なのです。

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人間は『不足』『欠乏』を恐れる

『好き好き~』って来てた子が急に自分に寄ってこなくなると、好きになってしまうってのも同じですね(笑)不足・欠乏は欲に変わるのです。

お酒をたくさん飲むと水分過多になり、体内のナトリウム濃度が薄くなりすぎるので、塩分を欲して、『〆にラーメン』となるわけです。

2.口コミに弱い

人間は口コミに弱い!うん、食べログとか、アマゾン・楽天のレビューはめちゃくちゃ参考にしちゃいますね~笑

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人間は口コミに弱い

よく「私が買ってよかった○○10選」とかって記事よくありますよね。

そんなん、どこのどいつかも知らん奴のよかった商品なんか興味あるか!って思いつつ、参考にしちゃうのが人間の性ということでしょう。(笑)

Youtubeとかでもおすすめの化粧品~!とか、そんなんありますよね~。ま、あんなん、ただの広告宣伝ですからね!笑 ご注意を。

3.わが子にはいいモノを!

これは親ならみなさんそうなんじゃないでしょうか。

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わが子には一番いいモノを

忙しい日々で子供に100%接してあげれておらず、最高の親でありたいが実際はそうではないと普段は申し訳ない気持ちを持っており、それをプレゼントで埋め合わせようという心理が働くのです。

子供が喜んでくれるモノを必死で探す!まさに先ほどの映画ですな。

4.仲間外れの恐怖

親戚や知人ら複数がこどもにあるおもちゃを買ったと聞くと、「うちも買わなきゃ」となる心理。

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仲間外れの恐怖

うちだけ”出遅れる”のを避けたいって感じです。親同士の対抗心!

あと、先ほどの3.とも共通するのですが、自分の子供にいい思いをさせたいという気持ちもあります。

5.子供も流行りに敏感

子供たちも何が流行っているかというものに敏感で、また、サンタさんに頼めばほしいものは手に入ると信じているのです。

たとえそれが作られた”流行”や”人気”であったとしても、子供がサンタに頼むとなると親は買ってあげるんですな~

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子供も流行りに敏感

ある意味、サンタさんって商用利用されてますよね(笑)

ちょっと高いおもちゃをCMやらYoutuberとかに宣伝してもらい、流行を意図的に作って、最後はサンタさんの力で売れ行きドッカン!

影響力の武器

この話に重なってくるのが、ロバート・チャルディーニが書いた『影響力の武器』という30年ほど前の本です。

おもちゃ屋さんはクリスマス前に売りたいおもちゃのCMを大量に流します。すると、子供たちが親にそのおもちゃをおねだりします。

ところがおもちゃ屋さんはクリスマス直前は意図的に流通量を減らし『売切』続出させます。結局、お目当てのおもちゃを入手できなかった親は、子供を悲しませないために同等またはそれよりもいい商品を買ってあげます

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一貫性の心理

クリスマスが終わると、そのおもちゃのCMをまたたくさん流すと、子供たちは親に「約束したじゃん」と詰め寄り、親は結局それを買ってあげる。

つまり、おもちゃ屋さんは2つおもちゃを買わせたのだというものです。

考えてみると認知的不協和と同じようなものですね(過去記事参照)

認知的不協和

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さいごに

いかがでしたか?

実は気づかないところで、様々な心理学のトリックが散りばめられていて、それに誘導されるかのように私たちは消費・購買していくのです。

子供たちもまた、気づかぬうちに、あるいは知った上でか、親に”契約”をさせておもちゃをしっかりと買ってもらうというある意味、交渉の天才なのです。時には『サンタさん』も利用して。

百貨店もおもちゃ屋も子供たちも、みんなサンタをうまく利用しているんですね。それがクリスマス~

それでは、また(^.^)ノ

*1:Clark, Cindy Dell (1 November 1998). Flights of Fancy, Leaps of Faith: Children's Myths in Contemporary America

*2:https://www.psychologytoday.com/us/blog/in-practice/201712/the-psychology-behind-wanting-the-hot-christmas-toy