アメリカが、メキシコとの国境に大量のハエを放出する計画が出ました*1。
これはいったい・・・( 一一)ノ
しっかり学んでいきましょう。

メキシコとの国境に
アメリカ政府は、これから何十億匹ものハエを育てて、飛行機でメキシコとの国境とテキサスの南部に放出する準備を進めています。

衛生状態の極めて高い日本の都市部では、ハエを見かけることすら珍しくなりましたが、マレーシアに行ったときにハエが大量に飛び交っているのを見て、食事する気が少々減ったことを覚えています。
そんなハエを敢えて大量に増やして放出するというアメリカ政府の意図は何でしょうか?
メキシコへの嫌がらせか?笑
畜産業を守れ
どうやら、メキシコからの不法移民への報復などではないようです。
実は、アメリカの畜産業(特に牛)を守るためのようです。
ウジ虫が牛を大量に死に追いやり、他の野生動物や、時には人々の飼うペットまでが被害に遭っているのです。

そのウジ虫退治の作戦が、ハエ大量放出なのだといいます。
え、ハエの子供がウジ虫じゃないの??なんて思っちゃうのですが・・・
ま、もう少し学んでみましょう。
肉食いウジ虫
ラセンウジバエというハエがいるんですが、そいつは牛や羊などの家畜の傷口に卵を産むんですね。
で、その傷口から生まれたウジ虫が、生きた家畜の肉をどんどんと食べていくんだそうです。

で、歴史を辿ってみると、メキシコからアメリカの方へと飛んできて、家畜に被害を与えてきたのです。
昆虫学を専攻していたエドワード・ニップリングがある方法を生み出しました。
それは、不妊化したオスを大量に生み出して放出する方法で不妊虫放飼と呼びます。

この不妊化された大量のオスが、メスのラセンウジバエと交尾をすることで、次の世代のラセンウジバエが生まれてこないというアイディアです。
野生のオスと交尾される可能性を極限に減らすためには、圧倒的多数の不妊オスを作り解き放つ必要があるので大規模なハエ工場も必要となります。
実際、1959年までにフロリダ地方ではラセンウジバエの根絶に成功しています。
成功の背景
さて、この不妊虫放飼はどんな害虫にも有効なのでしょうか?
この方法では大量のオスの成虫が放出されるので、それによる被害があってはいけないのです。
ラセンウジバエの幼虫は肉を蝕みますが、成虫はそうしないのです。

あと、一生の間に基本的に1回しか交尾をしないというのが重要です。何度も交尾をするような虫にはこの方法は難しいですね。ラセンウジバエは寿命が20日でその間にメスは1回しか交尾をしません。
また、この方法は単発で終われないと、莫大なお金がかかるので継続できません。
この20年間発生のなかったラセンウジバエの大量発生が起き、今回はメキシコにある以前使っていたハエ工場を利用するのですが、老朽化しており、改築だけで約30億円かかります。
お金のかかる方法なのです。
放射線使用
続いて不妊虫放飼法はどうやってやるのか?
1930年代、核開発が始まり、核実験が行われていました。そんな中、核実験に伴う放射線が人類に悪影響を与えることがわかりはじめました。
時代が時代で、放射線の長期影響よりも戦争で相手を叩きのめすことが優先され、そのような科学者らの声は黙殺されていました。

不妊虫放飼の開発者ニップルリングは、放射線が細胞に突然変異を与えることを利用することを思いつきました。
畜産業に携わる人達からは、この”憎い肉食いバエ”を駆除する不妊虫放飼に大きな期待を寄せ、多額の寄付が行われました。
核の平和利用
1950年代、第2次世界大戦後は米ソの冷戦に入っていました。
お互い核開発を進めており、このままでは第3次世界大戦は核戦争となり人類滅亡の危機が心配されるようになりました。

アメリカのアイゼンハワー大統領は、米英仏ソではなしあいをし、『核の平和利用』を呼びかけ、国際原子力機関 (IAEA) が設立されました。
こうして、核兵器→原子力発電の流れになり、世界唯一の被爆国である日本も、アメリカと日本テレビなどによるプロパガンダでアメリカ式の原子力発電所を持つこととなりました。
▼詳しくはコチラ▼
同じように、当時の時代背景的に、『核の平和利用』は国を挙げてもてはやされたため、この不妊虫放飼もかなりの後押しを受けたようです。
さいごに
いかがでしたか?
上空から大量のハエがバラまかれるというホラー映画を彷彿させるニュースを学んでみました。
殺虫剤などで対応するのではなく、次の世代が出てこないように不妊化したオスのハエを放出するという方法が取られます。
この技術の裏には、第2次世界大戦後の世界の核開発への憂慮から生まれた『核の平和利用』が大きく隠れているというのも学びになりました。
1つの生物を根絶できるというのは、裏を返せば、間違った人物が力を持って核を利用すれば人間だって・・・
皆さんはどう感じましたか?
では、また(^o^)ノ