新型コロナ登場から5年となるのを期に、アメリカ下院の新型コロナ分科委員会が、コロナに関する最終報告*1を出しました。
今回はこれについて、CNNの記事*2も見ながら学んでいきましょう♪
背景知識
当ブログでは、コロナ起源について何度も記事にして紹介してきました。
個人的には研究室からの流出事故の可能性が高いと考えております。しかしながら、それを裏付ける確たる証拠というのは見つかっておりません。
過去記事では、なぜ流出説と考えるのか解説しております。
▼コロナ起源解説記事シリーズ▼
ただし、コロナ関連の話になると、注意が必要で、必ず裏側に政治的意図も絡んできます。
例えば、アメリカではトランプ氏らの属する共和党なんかは、しきりに研究室流出説や生物兵器説を主張しています。
さらに米・下院の新型コロナ分科会は共和党が議長を務めており、かなり政治的に偏った報告書であることも留意が必要です。民主党側は報告書内容を否定しています。
昨年もこの分科会では、CIAの分析官が賄賂を受け取って、研究室流出説を否定させたという発表*3をしています。
これを受けてCIAは真っ向からこの発表を否定しています。さらに続報もありません。言いっぱなし。
共和党はよくこのようなパフォーマンスがありまして、2022年10月にも、上院の方で『報告書』という形で研究室流出の可能性が高いと*4言いました。
しかし、報告書内には新たな根拠や証拠はありませんでした。
目的は直後にある中間選挙のためのアピールでした。
今回の最終レポートも背景としてはそういったものがあることを頭に入れてみていきましょう。
520ページ
今回の最終報告はなんと520ページにも及ぶ超大作でした。
そのメインの結論はと言いますと・・・
出ました、今回も全く同じ書きっぷり。(ま、僕自身も現時点では今もこの説が有力なのではと思ってっていますが)
他のアメリカ諜報機関らの見解を一応お伝えしておくと、『人工的・意図的に作られたものではない』というのが多数派ですが、研究室流出か自然発生かはまだ見解はまとまっていません*5*6。
ただし、生物兵器として作られた可能性は低いと見られています。
今回の最終報告で、自然発生説を否定する理由として挙げられているのは、5年も経って自然発生の証拠が出てきてないのはおかしいというものです。
うーん、これはインパクト弱いですね(笑)
SARSの発生源特定は10年以上かかりましたし、エボラに至っては今も不明ですし。
一応、科学界での最新の知見*7としては、武漢華南海産物卸売市場で、野生動物からヒトに感染したのが有力だろうとしています。
WHOを非難
はい、ここから政治絡みます。
トランプさんはWHO撤退する言うてましたね。
報告書の内容によると、WHOは世界の人々の命を救うよりも、中国共産党の意図を汲むことを優先したと非難しています。
中国が世界への情報共有を拒んだこと、現地調査を阻んできたことで世界で大きな被害を生むことになったと、で、それをほう助したのはWHOだと。
▼WHO現地調査は名ばかり▼
正直、これに関しては同意見です。
中国の初期の隠蔽工作がより多くの命を奪いましたし、WHOは中国の顔色を見ているのも事実です。
▼WHOはいったい▼
実際、テドロスさんは『アフリカの中国』の異名を持つエチオピア出身で、インフラ含め多大な投資・援助を中国から受けています。
彼の前のマーガレット・チャン氏も事務局長になる選挙では中国が裏で相当動いており*8ました。
WHOはたしかに中国に支配されているようなものという認識は間違っていません。
感染対策
さて、レポート内ではコロナの感染対策についても否定的です。
ソーシャルディスタンスやマスク着用が科学的根拠がないと主張しています。
ただし、世界中の研究を寄せ集めたメタアナリシス*9ではそれぞれの効果は実証されています。なので、これは個人の主張レベルの稚拙さです。
続いて、報告書は幾度も行ったロックダウンなどが、国の経済に悪影響を与え、特に若者のメンタルヘルスにも影響したと。
これに関しては、そうですよね。
当時はまだわからない部分が多かったので、仕方ないですが、今後どうなったら制限を解除するなどの指標を決めておくのは将来のためには重要でしょう。
トランプ氏賞賛
ソーシャルディスタンスなどをこき下ろした一方で、当時のトランプ大統領による『外国人入国禁止』については多数の命を救ったと賞賛しています。
ブレブレですな。
さらに、トランプ大統領が指揮したワープスピード作戦で、最速でコロナワクチンが開発されたことで何百万人の命を救ったと賞賛しています。
しかし、その後のバイデン政権が、ワクチンに頼りすぎ、ゴリ押ししたせいで、国民の間で『ワクチン疲れ』『ワクチン不信』を招いたと。
はい、これも何度も紹介していますが、トランプ大統領がワクチン開発を指揮し、本人も少なくとも3回以上接種しているのに、トランプ支持者らが反ワクチンになる理由と同じです。
バイデン政権にワクチンの功績をまるごと持っていかれたからです。
で、いまやその支持者らに合わすようにトランプ氏もそっちの方向に進みつつある?のか、反ワクチンのデマ屋ロバート・F・ケネディーJr.を厚生長官に任命しました。
▼反ワクチンが長官に▼
実際は共和党支持者に反ワクチン傾向強く、接種率も低いです。
すると、ワクチン開始以降、接種率の低い共和党支持者の方が超過死亡が明らかに増えています*10。
▼共和党支持者で超過死亡多い▼
▼『元副社長』とかいう大嘘▼
医療従事者の誤情報
続いて、報告書内では、医療従事者による誤情報の流布についても批判しています。
おー、それはマジでいかん!日本でも特に自由診療をやってる医師らで、非科学的なワケのわからんことをいう人らがいます。医師免許はく奪含めて、厳正に対処してくれ!!
・・・
と思ったら、真逆の主張でした(笑)
要は、イベルメクチンが馬や牛にしか効かないという風な主張をした多くの公衆衛生医師らを批判しているのでした。
どういうことかと言うと、反ワクチンの人らが、ワクチン打たずにイベルメクチン飲んだら予防になるって本気で?信じてて、それを流布して、個人で動物用のイベルメクチンを購入して飲む人らが結構問題になったんです。
当たり前ですが、馬とか牛ってね、500kg以上ですよ、それに合わせた量の薬を80kgの人間が飲んだらどうなるか・・・
そこで、FDAが「あなたはウシでもウマでもない、まじでやめろ」と大々的なtweetをしたんですが、それがイベルメクチンが人には効かないという誤解を与えるとかなんとか。。。( 一一)アホカ
現時点での世界中からの研究を合わせての結論・・・
元々は抗生剤です、ウイルスに使うものでなく、「効いた」というのはアホほど高い濃度で試験管内の実験です。そんな濃度を体に入れたらどうなるか・・・
▼イベルメクチンの真相▼
コロナ禍の教訓
最後はこのコロナ禍の教訓をまとめていました。
各州で非常時の物資の貯蓄が少なすぎたことが大きな問題で、食料だけでなく薬物などもしっかりと配備するべきだと述べています。
後は、薬剤にしろそのほかにしろ製造を他国(特に中国)でやっているのはよくないと。緊急時に薬が国内で作れないなどは大問題だと。
ま、この辺も中国を引き合いに出してきて、共和党らしい政治的なまとめですな。
でも、まとめとしては『備えあれば患いなし』ってことでいいですね。
ま、だいぶ偏った、しかも非科学的な主張も見られますが、最後はまとまりましたね。
これもまた、1か月後に迫ったトランプ政権開始前のパフォーマンスの一環でもありますな~
では、また(^^♪
*1:https://oversight.house.gov/wp-content/uploads/2024/12/12.04.2024-SSCP-FINAL-REPORT.pdf
*2:https://edition.cnn.com/2024/12/02/health/house-covid-subcommittee-report/index.html
*3:https://www.newsweek.com/cia-whistleblower-bombshell-claim-covid-conspiracy-1826498?s=09
*4:https://thehill.com/policy/healthcare/3709108-senate-gop-report-on-covid-origin-suggests-lab-leak-is-most-likely/
*5:https://edition.cnn.com/2023/06/23/politics/covid-origins-report-odni-report/index.html
*6:https://edition.cnn.com/2023/02/26/politics/covid-lab-leak-wuhan-china-intelligence/index.html
*7:https://www.nature.com/articles/d41586-024-03982-2?utm_source=Live+Audience&utm_campaign=2c6e76bf4d-nature-briefing-daily-20241206&utm_medium=email&utm_term=0_b27a691814-2c6e76bf4d-50340844&fbclid=IwY2xjawHEROVleHRuA2FlbQIxMQABHTS910OXLuEWgmVJ4EvhbwAcxlkgyFgCzRBieBNMMWT6cK47zhYVXnxNFw_aem_JZxXJvXmulI83OEmAWAANQ
*8:https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/04/who-46_1.php
*9:https://www.bmj.com/content/375/bmj-2021-068302
*10:https://www.nber.org/system/files/working_papers/w30512/w30512.pdf
*11:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/search/research-news/15867/
*12:https://www.kumc.edu/about/news/news-archive/jama-ivermectin-study.html
*13:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2801827