僕に会うたびに必ずコロナの話を聞いてくるおじさんがいる。
「先生、また増えてきてますね~ どうなんですか?」もはや口癖になっているようです。定年退職されており、年齢的には”リスク高”と言われるので不安でいっぱいと言います。
ちゃんと知ればそこまで恐れる必要はないものですが、怪情報やら不安を煽る情報でいっぱいです。
僕は『俯瞰』というのが好きです。物事は、あまりに近くで見すぎると大きい図を見失います。主観をなるべく排除して一歩下がって・・・
今回は第3波の恐怖とどう向き合うべきかについて書いていきます。
不安・恐怖の影響力
みなさんは怖いものってありますか?僕は、雷と蜘蛛が無理なんです。雷が鳴っていると学校を休んだりもしました(笑)
▼雷について知ろう▼
雷は音も大きいしすごい怖いですよね。しかし、日本でもアメリカでも毎年雷による死者は20人ほどです。殺人は約1000件、交通事故は約3000人、自殺にいたっては2万人です。なのに僕はこの中でも雷が一番怖いです。命の恐怖さえ感じます。
数字を見たら恐れるに足りないんです、科学的には!←これ重要です。
しかし、いくら数字を示されても、無理なもんは無理だというのが人間です(笑)
コロナでも同じです。いくら数字で説得を試みても不安はなかなか消えません。なぜでしょうか。
原因は過去にアリ
こういった場合は通常は過去に必ず原因があります。トラウマですね。
思い出せないだけで、必ず記憶の奥底に原因があります。例えば、僕が雷が怖い理由。人に理由を聞かれても答えられませんでした。あるとき、ふと子供の時のことを思い出しました。田舎の木造の古い家に住んでいて、近くで雷が鳴るたびに停電をよく経験しました。
あとは、家の向かいの電柱に雷が落ちて、近所のおばさんが近くにいて、感電し腕がしびれたと聞きました。
これです。いくら年間に20人しか死なないと言われても、自分や身の回りの人が被害を受けるとその恐怖心は相当なものになり、科学などよりも影響は大きいのです。
クレジットカードで知り合いが詐欺にあった人は、現金しか使わないっていうのも同じですね。
日本でのコロナ脳
では、新型コロナでの人々の恐怖はどうでしょうか?過去に新型コロナはなかったしトラウマはなさそう。ではなぜ多くの人は怖がるのでしょうか。
日本では昨年137万6000人の方がお亡くなりになりました。一番多い死因は悪性新生物(がん)で次に心血管系となります。それはみなさん保険を売りつけられるときによく耳にしたと思います(笑)
交通事故やインフルエンザで毎年3000人が亡くなっています。コロナはもうすぐ1年になりますが年末で3000人くらいでしょう。毎年インフルエンザが流行って3000人*1が亡くなるのに、こちらには特に反応しないのにそれよりも死者が少ないコロナで恐怖のどん底まで行っているのは非科学的ですね。
海外で悲惨なニュース
たしかにアメリカでは25万人がコロナで死亡しています。このニュースを見ると恐ろしいですね。正直、この僕も3月くらいまではまだあまり情報がない未知のウイルスに不安がいっぱいでした。
しかし、今はもう世界が新型コロナと戦って、もうすぐ1年です。だいぶ治療法や初期対応がわかってきて世界的に死亡は減る傾向にあります。これは、新型コロナで重症化する理由が自分の免疫の暴走だとわかったから早めにステロイドを使えば抑えられるからです。
他にもワクチンの開発も急ピッチで進んでおり、ファイザー、モデルナらがこれから緊急使用の申請に入るところです。
▼新型コロナのワクチン▼
人種差が大きい
新型コロナのpandemicが始まってから国によって被害状況が違うことは言われてきました。日本を含むアジア諸国は被害が小さい。台湾にいたっては4月から"感染者"は0です。
理由は色々と議論されました。BCG接種の件、生活習慣の違いなどなど。そして、9月にNatureと呼ばれる権威ある国際学術誌で発表された論文では遺伝子に関するものでした。
2~4万年前に絶滅されたとされるネアンデルタール人の遺伝子が現代人にも引き継がれていることがわかっており、バングラデシュ人などは半数以上が引き継いでいます。
インドなどの南アジアや欧州ではネアンデルタール人の遺伝子を引き継いでいる割合が高く、日本含む東アジアやアフリカではその割合はほぼ0に近いそうです。
そして、いま、コロナの重症化と関連する遺伝子がわかっており、それが欧州で見つかったネアンデルタール人にも存在していることもわかっています。
ネアンデルタール人の遺伝子を持つ人種は重症化しやすく(リスク3倍)、持たない人種は重症化しにくいというまとめになっているわけです。
社会の怖さ
東アジア人の遺伝子では重症化しにくいという情報もあります。それでもやはり「不安」が日本で広がるのはなぜでしょうか?
先ほども書いたように身内や、知人などが感染し治療などを受けると、一気に非科学的になります。また、感染者へのイジメのようなものがあったり、医療従事者への差別もありました。結局ベースにあるのはやり場のない不安です。これをどないかするしかありません。
ちゃんとした情報を得て、慌てないことです。
”医療崩壊の危機”?
「東京で500人の感染者」と言われたらどんなイメージしますか?病院にたくさんの人が運び込まれていて病院が咳込んだ人たちであふれかえっている?
そんなこと全くありません!笑 何回も言ってますが、500人の陽性者が正しい表現です。検査して少しでもウイルスが付着していればPCRで増やされて陽性と出ます。それだけ。そもそもウイルスがは体内に入り込んで、増殖して体に何かしら影響を与えて初めて感染です。
無症状の人はホテルとか家庭内で療養です。
こういうのようありましたよね?笑
まずICUはベッド数に応じて看護師の数がしっかり決まっています。
コロナに関係なく重症な患者がICUに入ると、スタッフの手がかかるので外科術後の患者を診るのより大変のは間違いない。コロナの場合は感染対策も毎回してケアするのでストレスです。
しかしそれでなんで医療崩壊するんでしょうか?
指定感染症になっているので、患者が入っていた部屋の清掃なども看護師がやっています。通常は委託した清掃業者がやります。
ベッドが足りないのは、指定感染症を免罪符にして中規模の病院などが協力しないからです。ここに対して何もしてこなかったのは医師会も考え直してほしいです。
季節性インフルエンザ
ところで一般の方でもコロナについて、そこそこ詳しい方もおられます。しかし、その人たちに「季節性インフルエンザは感染者いつもどのくらいか知ってますか?」と聞くと答えられません。笑
去年の9月から12月末の3か月で347万7000人と出ています。そして毎年3000人がインフルエンザが直接的原因で亡くなり、1万人がインフルエンザを契機に持病が悪化などして亡くなります。
インフルエンザは薬があるのに、新型コロナより死者数が多いです。どっちが怖いのやら~
ところで、今年はインフルエンザ流行ってないのご存じですか?
ウイルス干渉
毎年この時期はすでにインフルエンザが流行っているのですが、今年は日本では全く流行していません。9月は例年の1/60、10月は例年の 1/12と報告されています。
新型コロナ対策で手洗いや予防をしっかりしているから?というのも一理はあると思います。それ以上に、ウイルス干渉というものもあります。
あるウイルスに感染すると他のウイルスの感染が起こりにくいというものです。実際、インフルエンザが流行すると風邪が減るというのは有名な話で、これは風邪の原因の1つのライノウイルスの研究で示されています。
8月に冬が終わったオーストラリアやニュージーランドでは今冬インフルエンザの目立った流行は見られなかったと報告しました。
もちろん、インフルエンザとコロナウイルスが体内に入るときにひっつく受容体が違うのでウイルス干渉が本当に起こるのかはまだわかっていませんが、現にいまインフルエンザは少ないです。
心配されている、同時流行は起こらずに済むといいですね
結論
では、私たちはこの第3波の恐怖をどうすればよいか?
結局はちゃんとした情報を手に入れて、自分にできることをするだけ!です。
インフルエンザウイルスよりも、新型コロナは感染力を持つ時間が圧倒的に長いので、しっかり手洗いでウイルスを減らしましょう。
洗っていない手で目を擦ったり、鼻をほじったりしないように!そして、換気の悪い部屋でマスクなしで大声で話さないこと。酒が入ると声が大きくなりますから控えめに。
あとは、ワイドショーなどにあまり影響を受けないことですね。見ないのが一番ですが(笑)すぐ盛ってきますので、そこに気づけるレベルになると、コロナ脳克服ですね
感染したってしょーがない。どれだけ予防しても風邪ひくでしょ?インフルかかるでしょ?同じです。とにかくやるべきことをして、無駄に恐れないことです。
では、また(^^♪
*1:関連は1万人