マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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桜がなくなる日~日本人と桜~

全国各地で桜の開花が発表される中、天気も安定せず、コロナ禍でもあり中途半端な状態です。花見に行かれる場合もしっかり感染対策をして距離を保って楽しみましょう。

さて、今回は日本人にとっては非常に重要なこの ”” について学んでみましょう。

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薔薇と親戚

実はサクラはバラ目バラ科サクラ亜科サクラ属*1に分類されます。花言葉は「精神の美」「優美な女性」。

サクラ亜属はCerasusといいます。Jリーグのセレッソ大阪のCerezoはスペイン語で桜ですが、このCerasusと通じているのです。

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サクラ

日本語の語源は諸説ありますが、一番わかりやすいものは「咲く」+複数「ら」です。他には「サ」という田んぼの神様の「クラ(神の台座)」、つまり神様の宿る木、という説もあります。ちなみに果実であるサクランボは”桜の坊”が訛ったものだそうです。

さて、サクラが見られるのはヨーロッパ、日本、中国、アメリカなど北半球の温帯地域です。欧米ではスモモ属に分類されています。ちなみにウメはバラ科サクラ属です。すべて親戚なのですね。

ソメイヨシノ

日本で桜と言えば・・・ソメイヨシノ!これを思い出しますね。これは実はもともとあるものではなく人工的に作られた桜なのです。笑

ソメイヨシノはエドヒガンザクラ(江戸彼岸桜)とオオシマザクラ(大島桜)からできた桜のクローンだと考えられています。全国各地から集められたソメイヨシノを遺伝子解析したところクローンであることが確認されています。最初にできたソメイヨシノを接ぎ木と挿し木を繰り返して数を増やしと言うのが有力視されています。

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ソメイヨシノの名前の由来は東京の「染井村でできた吉野桜」だと言われています。

尚、例によって、韓国ではソメイヨシノの起源は韓国の王桜(왕벚나무)だという韓国起源説がありますが、これについては遺伝学的に否定されています。

ソメイヨシノがなくなる

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このようにまことしやかに言われています。昔からあるヤマザクラやエドヒガンなどの寿命は数百年とも言われていますが、クローンで誕生したソメイヨシノは寿命が60-80年だと言う学者もいます。

ソメイヨシノは第二次世界大戦後に日本全国で大量に植樹されました。また、ソメイヨシノの植えられたところは、公園や街路で、排気ガスの影響を受けて傷みやすいことも指摘されています。(はて、公園でのBBQも影響あるのかな?)

現在戦後75年が過ぎていますので、寿命を考慮すると当時に植えられたソメイヨシノは徐々に見れなくなる可能性が高いのです。

また、先ほども言いましたがソメイヨシノは1本の木からコピーされ増え続けたクローンなので、すべての花が似通った性質を持ちます。咲くタイミングも近いので、咲き始めると一気に満開になりますね。環境の何かが原因でやられてしまうと他の花も同じ遺伝子なので同じようにやられてしまうのです。

ソメイヨシノはてんぐ巣病と言うカビの伝染病にかかりやすいという欠点があります。現在様々な都市では、てんぐ巣病になりにくい、ソメイヨシノに代わるサクラの品種の植え替えを検討しています。花見ができなくなったら困りますからね(笑)

コマツオトメっていう品種がソメイヨシノと同じく5枚弁で見た目も似ているし、てんぐ巣病になりにくいそうです。他にもジンダイアケボノ、マイヒメなどという品種も検討されています。20年後にはこのどれかがよく聞かれるかもですね。

地球温暖化と花見

地球温暖化が進むと将来的に九州南西部ではソメイヨシノの生育が不可能になる可能性が指摘されています。というのも、桜の開花に重要な条件は冬に思いっきり冷え込んで、春になって急に暖かくなる刺激が必要なのです。これを休眠解除といいます。

一般に冬場は5℃以下の気温が続かなければこの刺激が起こりにくいようで、地球温暖化により暖冬になるとこのシステムが働かなくなる可能性が指摘されています。

元々温暖な地域では既にこの懸念が現実となっているようで、屋久島や種子島などの温暖な地域ではソメイヨシノの開花異常*2が観測されています。

日本人と桜

奈良時代までは "花" と言えば梅でしたが、平安時代に入ってから桜がその座を奪いました。

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葛飾北斎:サクラと富士

江戸時代には護岸や美観のために桜が河川沿いに植えられました。当時はたくさんの種類の桜が植えられていましたが、江戸末期にソメイヨシノができ、明治時代以降日本中で桜の植樹が広まりました。

昔の日本人にとって、厳しい冬を乗り越えた”喜び”が桜の開花のタイミングと重なることや、開花しても気がつけば散ってしまうという”儚さ”が心に響いたようです。盛者必衰です。笑

桜前線

桜前線というのは正式な言葉ではなく、気象庁は使いません。桜の開花予想や開花状況は全国68か所の桜の観測点があり、ソメイヨシノを対象としています。気象庁は過去の開花日のデータや平均気温などからコンピュータで開花日の予想をしていました。

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2021年 開花予想 ウェザーマップより引用

現在は民間の業者が複数この開花予想に参入しており、気象庁は民間業者に任せる方針とし、2010年より桜の開花予想を辞めました。

尚、標本木の蕾が5輪から6輪ほど花を開くを開花宣言され、80%以上のつぼみが開くと満開とされます。

社会で活躍するサクラ

江戸時代に歌舞伎を無料で見せてもらう代わりに、役者に掛け声などをかけて、場を盛り上げる人たちのことを『サクラ』と呼びました。言葉のチョイスとしては、「桜の花見と同じで無料」であり、「サクラのように一時的な盛り上がり」をするからだそうでう。

出会い系のサクラや、お店に行列を作らせるサクラ・・・

世の中はサクラであふれていますね。

いまは、なんと結婚式サクラってのもあるらしく、招待客を多く見せるために友人役を行うサクラバイトもあるようです。

他にも昔、マクドナルドでクォーターパウンダー発売の時にサクラの行列を雇ったことも話題になっていましたね。

マクドナルドのお話はコチラ

www.multilingual-doctor.com

おもしろい”サクラ”を見つけたらぜひ教えてください。

 

では、また(^^♪

*1:日本での分類

*2:開花が遅れるなど