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社会保険の基礎シリーズ4 ~介護保険~

このシリーズの最終回です。高齢化社会の日本にはとても重要なお話です。

介護保険について少し勉強しましょう。

 

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介護保険

できたのは実は最近で、ドイツの介護保険をモデルに2000年から開始されました。以前学んだ医療保険とは違い、この保険の目的は、高齢者の自立をサポートするためのものです。つまり、病気を治すのではなく、加齢とともに入浴や食事や排せつに介護が必要となる高齢者をサポートする保険です。医療と介護を切り離す目的があります。

被保険者は2種類あります。第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40~64歳)です。この被保険者になるには絶対条件として公的医療保険に加入していることが必要です。

日本では公的医療保険は基本的には全員が加入していますが、生活保護を受けている人は加入していません。

 

医療保険についてはコチラ

www.multilingual-doctor.com

 

介護保険の保険料

まず、介護保険はどこから払われるか確認しましょう。介護保険の財源は国から50%、そして介護保険料から50%となっています。

さて、介護保険料は第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40~64歳)で違います。第1号被保険者はだいたい月に6000円弱の支払いとなっています。この保険料は3年に1度改定されます。第2号被保険者は年齢からもわかるように普通はまだ働いている世代ですので医療保険料と一緒に介護保険料も支払います。会社員であれば給料から天引き(=特別徴収という)されています。こちらは常に変動します、大体平均で月に2600円くらいだそうです。

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要介護認定

介護保険を使っての介護サービスを利用するには要介護認定を受ける必要があります。市役所や区役所で要介護認定申請書を提出し、主治医意見書を書いてもらいます。同時並行で認定調査員の面談などがあります。こうして最終的に要介護度が決定されます。要支援1~2、要介護1~5に分類されます。

要介護認定が終わるとケアマネージャー(介護支援専門員)がケアプランを提示し、本人と話し合ってサービスを受けることになります。

 

介護保険の問題点

保険で払われる仕組みができると当然そのビジネスも増えます。デイサービスなどがたくさん作られました。保険から大部分が支払われるので施設は取りそびれないからです。かくして、デイサービスの過剰供給により、保険料の支払いが多くなっています。

小規模デイサービスは多いのですが、一方で、特別養護老人ホームの不足が問題となっています。特別養護老人ホームは通常の介護老人保健施設と違って在宅復帰を目指すものではありません。終身そこで暮らせる施設です。入所には原則、要介護3~5に認定されていることが必要です。