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若い乳癌患者が増えている理由

女性で一番多いがんは乳がんです。

その中で、この20~30年を見ると、若い女性の乳がんが急に増えているという事実があります。

今回は、若い乳癌が増えている理由について学びましょう。*1

若年性乳がんの急増

アメリカでは、8人に1人の女性が生涯のうちに乳がんの診断を受けます。

ちなみに日本人では9人に1人*2です。

しかし、さらに恐ろしいことは、2012年から2021年の10年間を見ると、乳がんの罹患率が毎年およそ1%ずつ上昇しているのです。

50歳未満乳がん患者の増加(Phillip Reese for KFF Health News)

その上昇の主な原因となっているのが、50歳未満の若い年代での急増です。

この20年の間で、若年性乳がんは増え続け、特にこの10年で顕著に増えているという印象です。

この急増している若年性の乳がんを詳しく調べると、いくつかわかってきたことがあるようです。

人種では、アジア系、ポリネシア系、白人で顕著です。

エストロゲン依存

乳がんは、女性ホルモンの1つであるエストロゲンによる曝露が関係するものと、そうでないものがあります。

エストロゲンが関係するタイプの乳がんでは、妊娠経験のない女性がリスクが高くなります。というのも、妊娠中・授乳中は高いエストロゲンに曝されないからというのが一般論です。

乳がんと女性ホルモン

(ま、実際は妊娠中もエストロゲンは高くなりますが、同時にプロゲステロンも高くなるので影響を受けにくいということみたいですが・・・)

で、ここ20年のデータを見ると、エストロゲンに関連する乳がんが特に若い年代で急増していることがわかりました。

その原因の1つに初潮が早くなっていることが考えられています。

初潮が早まってきている

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これにより、早い年代からエストロゲンに曝露されるため、乳がんの低年齢化が起きていると考えられています。

初潮が早いと乳がんリスク↑

小児期の肥満、環境ホルモン、マイクロプラスチックが初潮が早まっている元凶として議論されています。

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『1年で10%上昇』

初潮が早まり、若いうちからエストロゲンに曝露されることで、乳がんのリスクはどのくらい上がるのでしょうか?

ワシントン大学の研究者によると、1年初潮が早まると、リスクが9~10%上昇すると説明しています。

また、妊娠年齢や子供の数も関係してるようです。

初産が30歳未満で、複数の子供を産むとリスクが下がることは過去の研究からわかっています。

現代人はリスクup

しかし、近年の先進国の状況は、晩婚化・少子化です。

リスクが上がる方向に進んでいます。

高濃度乳房

女性の乳房の内部は大きく分けると、脂肪組織と乳腺組織に分かれます。

そのうち、乳腺組織の割合が多い乳房を高濃度乳房と言います。アジア人は高濃度乳房の人が多いようです。

高濃度乳房とは

この高濃度乳房はマンモグラフィーで初期乳がんを見つけにくかったり、また、高濃度乳房自体が乳がんのリスク因子だともいわれています。

しかし、20代や30代では、みんな乳腺組織が多いので、高濃度乳房になりがちだという事実も抑えておく必要があります。

やせ型の女性や、高濃度乳腺の家族歴がある女性、更年期障害に対してホルモン補充療法を行っている女性などでは高濃度乳腺となりやすいことがわかっています。

生活習慣の変化

アルコールはエストロゲンを増やします。

昔と比べ、女性のアルコール消費量は増えており、特に一気に飲む量が多い傾向にあると、それも一因ではないかと研究者らは指摘しています。

野菜・食物繊維の摂取不足は大腸癌でもリスクとされていますが、乳がんでも関係があるようです。

食物繊維不足と大腸がん

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また、どのがんにも共通して、定期的な運動と過肥満を避けることでリスクが下がることもわかっています。

さいごに

いかがでしたか?

今回は若年性乳がんが増えいているという問題を見てきました。

生活習慣の変化、また晩婚化・少子化という社会問題までもが関与しているようです。

しかし、現時点でリスクを下げられるとわかっていることもありますので、その辺を取り組むことが重要となってきます。

食物繊維を取って、定期的な運動をして、アルコールは適度に!

また、乳がん患者は肥満・高血圧があると予後が悪くなることもわかっています。

乳がんと肥満

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では、また(^^♪