人間社会には”科学”では説明がつかないようなこともたくさんあります。例えば、マナーというものは人間社会独自のもので、たとえ医学的には正常なことでも、人前でおならをすることは社会的にはタブーですね(笑)
というわけで、今回は ”おなら” について様々な知識を学んでみましょう。
音の無いおならは無い
おならと言うのは元々『お鳴らし』から来ております。そうなんです、つまり、音が鳴らないものは厳密には ”おなら” ではないんですね(笑)
こういうサイレントおならをすかしっ屁と呼ぶのは江戸時代からあるそうです。
ちなみに医学用語ではおならをすることは『放屁(ほうひ)』と呼ばれます。カルテにはこの単語を使っています。
おならのメカニズム
食べたものは食道⇒胃⇒小腸⇒大腸⇒肛門の順で便になって出てきます。特に大腸で食物残渣*1を腸内細菌が分解するときにガスができるんです。通常はこのガスは腸管内で吸収されるので問題はありません。
しかし、吸収しきれないガスはおならになってお尻から出てくるわけです。
また、がぶ飲み、早食い、イッキ飲みなどで食事の際に大量の空気が胃に入ると、げっぷをしますね。これですべて空気を出せればいいのですが、一部はそのまま腸へ移動します。
そして、それらも腸管内で吸収されますが、吸収しきれなかった空気はおならになって出てきます。
『おなら出ましたか?』
よく医療ドラマなんかで術後の患者さんに「おなら出ました?」って聞くものがありますよね?
お腹の手術をすると、しばらく腸の動きが弱くなったり、術式によっては一時的に停止してしまいます。腸の動きが止まると、当然便も出ませんし、溜まったガスもお尻から排出されません。
腸の動きが再開されると、溜まったガスがまず排出されるので、この質問は術後の順調な回復の目安になるわけですね。
イモを食べたら臭くなる?
医者ながら「かわいい子はおならをしない」といまだに信じている非科学男であります。笑
冗談はさておき、おならはやはり臭いが気になりますよね。臭いがキツいときは、決してごまかすことはできません!笑
ところで、「イモを食べたらおならが臭くなる」って聞いたことありませんか?これは本当なんでしょうか?
結論から言うと『半分正解』です。
イモのような食物繊維が豊富なものは、小腸で吸収できず大腸でのみ分解します。このときに乳酸菌などによる分解時に水素やメタンができ、おならは増えます!
が、このおならは基本的には無臭なんです。おならが増える意味では正解、臭いは他の要因。
おならの臭いの原因
では、何を食べたら臭くなるのでしょうか?
実はあの臭いの主な原因は、硫黄です。硫黄は温泉などにも含まれて、化学などでは『腐卵臭』などと表現されますね。この硫黄を多く含む食べ物、つまり肉類、魚類、卵とかニンニク、ネギなどを大量に食べると、分解後、硫化水素やスカトールというイヤな臭いの成分が出てくるのです。
なので、動物性たんぱくの摂取が多いと臭くなりやすいというのがわかりやすい考え方です。
ナンバープレート『へ』
ナンバープレートに『へ』がないのはご存知でしょうか?
実は『へ』は ”おなら”で、車で言えば、”排気ガス”をイメージさせることからふさわしくないということで使われておりません。
他にも『お』と『し』と『ん』もナンバープレートには使われていません。理由は上図の通り、それぞれの事情があります。
スカンクのおなら
スカンクはおならをするというのは有名なお話ですが、実はあれはおならではありません。肛門の両脇に小さい穴(肛門嚢という)があってそこから出る分泌液なんです。
危険や脅威を感じるとまず相手を威嚇するためにスカンクは地面を叩いたりします。それでも、危険を感じると肛門嚢から分泌液を噴射するのですが、これが数m先まで飛ばして命中できるのです。そして、すごい臭いし、服などにかかると通常の洗濯では臭いは消えません(笑)
尚、この分泌液が目に入ると一時的に目が見えなくなるほどの刺激性があるのだそうです。また、噴射後の臭いは風に乗り1-2kmは広がるそうな。。。
決してスカンクを見ても刺激しないのがよさそうですね。
ヘオイビクニ
ヘオイビクニって聞いたことありますか?何かの動物・・・ではありません、人です。
漢字で書くと『屁負比丘尼』です。
時は江戸時代、女性が人前でおならをすることは大変大きな恥であり、中にはそれを苦に自殺する人もいたほどです。
そこで、上流階級の女性が万一 人前でおならをしてしまったときは、その身代わりになるという職業が、屁負比丘尼です。
おなら身代わりだけでなく、普段は上流階級の女性陣のお世話をしていたので、わりかしちゃんとした職業だったようです。
さいごに
いかがでしたか、少しお下品ですが、今回は”おなら”にまつわるお話でした。
あなたの周りで誰かが『ぷー』したときに教えてあげてください
では、また(^.^)ノ
*1:食べ残し