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【サク読み】太陽光発電って、いったい。。

7月3日に熱海で起こった土砂崩れは動画も見ましたが非常に恐ろしいものでした。

近年の異常気象もさることながら、今回この土砂崩れが起きた山の上には大量のソーラーパネルが設置されている、いわゆるメガーソーラーであることから、設置に伴う森林伐採により、山の持つ吸水能力を減じてしまったのも今回の災害の一因ではないか?ともささやかれています。

近年、地球環境のために、進められる太陽光発電ですが、その問題についても学んでみましょう。

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ソーラーパネル

ソーラーパネルは家の屋上なんかに設置している家庭もありますね。

ソーラーパネルにより作られた電気は家庭内で使用されますが、余れば売る売電)こともできます。

太陽からのエネルギーで発電するので、火力発電のように二酸化炭素は出ないし、原子力発電所に頼らなくてもよい社会が実現するかも。。

さらに、補助金を利用してソーラーパネルを設置して発電して余れば売れるし、「これはお得」という投資の一面もあるのです。

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太陽光発電について

問題点①

さて、家庭でソーラーパネルを設置することでマイナス面を見ていきましょう。まずは、環境面で。

太陽光発電は太陽がなければ発電できません。地域により日照時間が違いますので、発電量も当然違ってきます。

また、暑い日はソーラーパネルの発電効率が落ちるため、発電量も少なくなります。

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ソーラーパネルの問題点1

街の景観に影響を与えることから、例えば京都の美観地区などでは設置に制限あがります。

他にも、太陽光の反射により、近所の家が『眩しい』『熱中症なった』という近隣トラブルから裁判に至った例も散見されます。

問題点②

つづいて、財政面での問題を見ていきましょう。

ウマい話には必ず詐欺があります(笑)

国民生活センターも家庭用蓄電池の勧誘トラブルについての注意喚起をしています。その相談件数*1年間1000件を超えています。

内容としては突然の訪問で、「儲かりますよ」と強引な勧誘から契約にいたるというものが挙げられています。最近では『設置0円』の宣伝もありますが、しっかりと内容を確認すべきです。

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ソーラーパネルの問題点2

 まず、知っておかなければいけないのは、設置にかなりお金がかかります。経済産業省資源エネルギー庁の資料*2では、相場価格は年々下がってはいますが、初期費用は137.5万円となっております。まぁまぁ高いんです。

元を取るにはたくさん電気を作り、買い取ってもらうのが重要です。しかし、太陽光発電の発電効率は20%程度と言われ、風力発電(20-40%?)よりも効率が悪いといわれます。さらに、売電価格が年々下がっているのです。

売電価格の低下

電気の価格って上がったり下がったりしますよね。せっかくソーラー発電開始したのに、数年後に電気の買取価格が急落するかもしれないと、リスクを負ってまで初期費用140万弱払うソーラー発電をする人は限られるでしょう。

そこで、国(民主党政権)は固定価格買取制度(FIT)*3というものを作り、開始後10年は一定の価格(円/kWh)で買い取ってくれるというものを作りました。これにより、買取料金変動のリスクを減らしました。

因みに、元を取るまでにかかる期間は8~9年のようです。パネル自体は20-30年は持つ*4とされるので、損はしないのでしょう。

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余剰電気買取価格の下落

ところが、この基準価格がどんどん下がっているのです。

というのも、元々は東日本大震災直後は、電力不足ということもあり、電力会社も高い値であっても買い取りたかったからです。その後、落ち着いていっただけです。

2012年から10年間で買取価格は半減してます。2012年に始めた人は10年間は42円/kWhで買取されますが、11年目からはその年の価格での買取になります。

ならば、2012年に始めた人は得してて、今年始めた人は大損してるか?と言うとそうでもないようです。

というのも最初の初期費用もこの10年でだいぶ安くなっているからです。隣国製のパネルとかね。

問題点③

さて、環境面と財政面でのマイナスを見てきました。他にも問題点があります。

当然あのパネルは台風などで飛ばされて破損したり、経年劣化でも壊れることがあります。また、先ほども述べた、反射光での近隣トラブルもあります。

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ソーラーパネルの問題点3

消費者庁の報告書*5によると2017年までに家庭用のソーラーパネル関連での発火・発煙・火災は127件ありました。2018年時点で240万棟以上が設置しているので、割合としては非常に少ないですが。

セクシー環境大臣によると将来の『太陽光発電の設置義務化を視野に入れて』いるそうです。ま、反原発のお父様も、お兄様も太陽光発電会社の広告塔ですからね。

メガソーラーと災害

今まで各家庭につけるソーラーパネルについて見てきました。

さて、この温室効果ガスを生み出さない、自然の力で発電できる太陽光発電をもっと大規模でやろうというのがメガソーラーです。

人が住まない山林や砂漠地帯(アメリカなど)に大量のソーラーパネルを設置して発電しようというものです。

問題点は自然の景観を崩すことや、森林伐採による土砂災害です。これは今回の熱海の件も関係してるのではないかと言われています。

また、CO2削減を目的とする再生可能エネルギー生産のために、CO2を吸収してくれる森林を伐採するというのはど本当にエコでしょうか。

企業の参入

民主党政権で始めた固定価格買取制度(FIT)については先ほど説明しました。

個人については、10年間の買取価格据え置きでしたね。実は、メガソーラーに関しては20年間買取価格据え置きするという大盤振る舞いなのです。

これを利用してメガソーラーに参入する企業が増えたのです。

他の発電に比べて設置基準の規制が少なく*6、建設費用も安いため次々と建設が進みました。

外国産パネル

儲けようとしたら企業は何をするか?当然コスト削減ですね。

太陽光パネルが安ければ安いほど、利益が増えるわけです。となると、高価な国産パネルではなく、中国・韓国製が多く使われています。

政府の目論見ははずれ、国産パネル使用による国内の産業振興は夢に終わりました。

さらに、中国のソーラーパネルは多く新疆ウイグル自治区で作られています。

ウイグル問題

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6月にアメリカのバイデン(≠売電) 政権は、ウイグルでの強制労働を理由に中国産のソーラーパネルの輸入を禁止*7しています。

さいごに

いかがでしたか。

ここ最近、SDGs(持続可能な開発目標)といって、環境に優しい再生エネルギーや省エネに注目が浴びています。これは国際的な流れです。

一見 環境によさそうなことは、本当に環境にいいのでしょうか?

記憶に新しいレジ袋有料化もそうです。コンビニなどでのレジ袋不要と言う人は70%以上*8となり、一定の効果を持っていそうです。その一方で、コンビニ袋の代用となるようなビニール袋の購入量が2倍以上になっています。

レジ袋有料化

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今回の熱海の土砂崩れが、メガソーラーと関連があるのかはこれから専門家たちが調べるでしょう。

CO2を出さない太陽光発電は重要なのは事実です。今ある問題を1つ1つ解決していくことで、将来的には主要なエネルギー源になっているかもしれませんね。

 

では、また(^.^)ノ

 

電力自由化について

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