1月6日にあったトランプ支持者による議事堂襲撃事件では、警察官を含む4名の死者*1を出しました。その他にデモ中に心臓発作と脳卒中で1人ずつ亡くなっています。
世界中に衝撃を与えた”クーデター未遂”以降、トランプ大統領はTwitterなどのSNSのアカウント凍結されたり、ニューヨーク市はトランプ氏とのビジネス契約をすべて破棄するなど大きな禍根を遺しています。
トランプ大統領が襲撃を煽ったとして、任期中2回目の弾劾訴追決議が採択されました。上院で2/3以上の賛成があれば『弾劾』となります。こうなると次回の2024年の大統領選出馬はできなくなります。
▼トランプ大統領弾劾裁判-1回目-▼
1月20日に新大統領の就任式があります。今回はジョー・バイデン氏について学んでみましょう。
父親の名前は・・・
1942年に東海岸、ペンシルベニア州で生まれ、その後、隣のデラウェア州で育ちました。この2つの州の名前は大統領選のときによく耳にしましたね。
Joseph Bidenさんの長男として生まれ、名前は Joseph Biden Jr. と名づけられました。つまり父親と同じ名前なのです。Joe Biden というのは愛称みたいなもんですね。
1966年に学校の先生をしていたネイリア・ハンターと結婚し、3人の子を授かりました。
そして1969年から弁護士として活動後まもなく1972年に上院議員に当選しました。
悲劇が襲う
激戦を経て晴れて上院議員になったバイデン氏に悲劇が襲います。
当選直後の12月18日、妻のネイリアは3人の子供を連れてクリスマスの買い物に行く道中、トレーラーと衝突事故を起こしました。この事故で、妻ネイリアと長女ナオミを失ってしまったのです。
生き残った2人の息子も重傷を負っており、入院生活が続きました。バイデン氏は毎日片道1時間半かけて病院とワシントンD.C.を列車で往復しました。(アムトラックが大好きらしいです。)
再婚と再選
5年後の1977年、息子たちの勧めもあり、交際していたジルと再婚し、娘のアシュリーを授かりました。円満な家庭を築くとともに、議員としても3選を果たすなど気づけばベテラン議員に仲間入りしていました。
ここで少し、家族をまとめておきましょう。
右側のネイリアとナオミは事故で亡くなりました。次男のハンターは母親の Hunter をミドルネームにもらっています。この人は後にウクライナ疑惑に関連しますので名前を覚えておいてください。ウクライナのガス会社役員として高額の報酬を受けていました。
大統領選辞退
実はジョーは1988年の大統領選に出馬予定でした。45歳でした。最有力候補とされていましたが、このときに大学時代の論文盗用疑惑が出てきて、本人も認め謝罪し、立候補を辞退しました。
2度の手術
大統領選出馬を辞退した後、首の痛みに悩まされており、陸軍病院で脳動脈瘤破裂が見つかり2度の手術を受けて退院しました。
脳動脈瘤は脳の血管の構造が生まれつきもろいと起こりやすく、遺伝性についても指摘があります。もろい血管に強い圧がかかったりすると、血管がコブ状になります。
2度目の大統領選
退院後は民主党上院議員として活躍し、湾岸戦争(1991)、同時多発テロ(2001)を経験しました。気が付けば36年もの在職期間が過ぎており、重鎮となっていました。
2008年年に2度目の大統領選出馬を狙いましたが、民主党はバラク・オバマ候補とヒラリー・クリントン候補が圧倒しており、辞退しました。
その後、当選したオバマ大統領により副大統領に指命されました。66歳でした。
黒人初の大統領となったオバマ氏としては、白人やカトリックからの支持を取り付けるにはバイデン氏の力が必要とされたと言われています。
またオバマ氏は左派であり、バイデン氏は中道ということで違った意見をもらうためでもあったようです。
ロシアのクリミア併合
クリミア半島は国際的にはウクライナの領土とされますが、2014年にロシアがクリミア半島を併合しました。簡単に説明します。
元々はウクライナもソ連でしたが、崩壊後独立しています。
クリミア半島はウクライナでありながら住民の6割がロシア系なんです。ロシアにとっては欧州との緩衝地域としてこのクリミア半島は重要でした。
実はウクライナは財政状況が非常に悪く、破綻しそうなのです。国債を刷って買ってほしいのですが、通貨価値がどんどん値下がりする国の国債を、いくら高金利にしてもなかなか買ってもらえません。
そこでロシアが「ふむ、わしが買ってやろう」ということで150億ドルにも及ぶ融資をしたのです。ウクライナはロシアによって生かされています。
かといって、クリミアをいきなりロシアに併合すると国際的な批判を食らうので、まずクリミアを独立させ、それから"国民投票"をしてロシアに併合しました。クリミア住民の6割はロシア系ですから、当然賛成が多くなりますね。
これに対しオバマ政権はウクライナ支持を表明し、バイデン氏もウクライナの議会でウクライナ支持の演説を行いました。バイデン氏はこの時のウクライナ政策を担当していました。息子のハンター・バイデンはウクライナのガス会社の役員。。。あれ?。
▼ウクライナとバイデン氏▼
2016年大統領選
オバマ政権が終わる2016年の大統領選出馬も期待されていたバイデン氏でしたが、2015年10月に出馬をしないと表明しました。
この年の5月に、長男のボー・バイデンを脳腫瘍で亡くしていました。これが影響したかは不明ですが。
そして、このときの選挙では民主党のヒラリー・クリントン候補を破ってドナルド・トランプ大統領が誕生しました。
3度目の正直
2019年4月に2020年大統領選への出馬を表明しました。このとき77歳。
民主党内での候補選びでも苦戦をしましたが、最後は民主党内『左派 vs 中道』の派閥争いとなり、中道派バイデン氏が最終的に民主党からの指名を獲得しました。
2020年 コロナ禍で起こったBLM運動に支持を表明し、副大統領候補に黒人のカマラ・ハリス氏を指名したことも流れを掴むきっかけになったかもしれません。
こうして、1月20日に第46代アメリカ大統領に就任します。
日本への影響
トランプ政権時は、"揺さぶり外交" を行っていましたが、日本とは”同盟国”として安定した関係を望むと考えられています。
日本がアメリカに協力を求めることは、尖閣問題や拉致問題です。自身が副大統領だったオバマ政権時代は北朝鮮を戦略的放置してきました。つまり、トランプ大統領のように金正恩委員長と会談したりせず、強硬路線を取ると見られています。
韓国が最近、徴用工問題や慰安婦問題を蒸し返しています。2015年に安倍総理と朴槿恵大統領が ”最終的かつ不可逆的に解決” した合意は、オバマ政権が働きかけていました。バイデン氏も今回ここにまた介入する可能性があります。
そう、基本政策は ”同盟国との関係強化” です。日韓共にアメリカの同盟国だからです。
対中路線は?
バイデン氏は習近平氏と個人的に交流があります。また息子のハンター・バイデン氏が中国企業と取引をしており、「中国に融和?」と考えられています。
しかし、中国はいまやアメリカと同盟国にとって”脅威”であるという共通認識があります。バイデン氏も大統領選演説では中国の人権侵害や貿易問題を強く批判しました。
基本的には、日本や韓国の『同盟国との協調』を重視しつつ、足並みをそろえて中国に圧力をかける政策となりそうです。
では、また(^^♪
*1:1人は自殺?