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過敏性腸症候群治療で死亡リスク上昇?

過敏性腸症候群の治療をすると、死亡率が上がる。

ちょっと気になる報告が出てきましたので、学んでいきましょう*1

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群というのは、慢性的に腹痛・下痢・便秘があるけれど、検査をしても特に異常が見つからないというものです。

主な原因としては、ストレスが知られています。いつも塾に行く前に、とか、通学中の電車でいつもお腹が痛くなるってのがわかりやすい例です。

日本人の7〜10人に1人はこの病気を持っていると言われています。

治療は、一番はストレスの原因を避けることですが、これが一番難しい。

他に、生活習慣の見直しで、香辛料やコーヒーなどの刺激物を減らすとか、お腹が張る場合には、乳製品や小麦などを減らすなどがあります。

整腸剤や腸の動きを調整する薬などが使われることもありますが、正直なかなか治りにくいのが実情です。

また、過敏性腸症候群は、うつ病や不安症と併発することが多いことも有名で、治療に抗うつ薬が使われることもあります。

治療薬を調査

今回ロサンゼルスにある研究チームは、2005年〜2023年までの過敏性腸症候群の患者65万人のデータを調査しました。

その中で、長期にわたり抗うつ薬が使われている患者(←被検者の約半数)では、使用していない患者と比べて35% 全死因死亡率が高い事がわかりました。

また、下痢止めでよく使われるロペラミドがありますが、それでも効果が弱いときは、ジフェノキシレートという薬剤が使われることがあります。

ロペラミドを使用している患者では、使用していない患者と比して、全死因死亡率が50%高く、ジフェノキシレートを使用している患者は89%高いこともわかりました。

これらの薬が直接的に死亡の原因となったわけではなく、恐らく長期服用による副作用で心臓麻痺や転倒、脳卒中が起きたと研究者らは考察しています。

長期内服の危険性

処方される薬は基本的に、相当な安全基準をクリアして承認されています。

しかし、こうした薬の臨床研究は長くても1年程度で、10年も20年も内服した場合の副作用についてはわからないことが多いです。

たいてい、過敏性腸症候群若くして診断されるため、かなり長期に内服することが多いです。

体調の変化を感じた際は、早めに医師に相談するように推奨されています。

抗うつ薬

抗うつ薬が処方されている過敏性腸症候群患者35%全死因死亡率が高いという結果について考えてみましょう。

特に古くから使われている三環系抗うつ薬と呼ばれる種類では全死因死亡率は2倍になるという結果でした。

うつ病は、セロトニンの分泌量が減っている状態です。食事ではセロトニンの原料となる必須アミノ酸(トリプトファン)を含んでいる大豆製品、乳製品、バナナなどを積極的に摂ることが推奨されています。

抗うつ薬は、脳内の神経細胞から放出されたセロトニンが、再び細胞内に取り込みされるのを邪魔するなどして、セロトニン濃度を高める薬です。

セロトニンが過剰になるのも問題です。心拍数が上がったり、血圧が上がったり、筋肉が痙攣したりします。

またセロトニンにより代謝が落ちるので太りやすくなります。これらの合わせ技で循環器系疾患のリスクが高まることが想定されます。

抗うつ薬は軽度の免疫抑制作用があり、肺炎を起こしやすくなることも報告されています。

セロトニン

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止痢薬

止痢薬のロペラミドで全死因死亡率50%増加ジフェノキシレートで全死因死亡率89%上昇というものも先程出てきました。

ロペラミドはオピオイド受容体に作用して腸の蠕動を抑えることで止痢薬として機能します。

一方で、過剰摂取では、心臓のNaチャネルやKチャネルをブロックするので、QT延長や、トルサード・ド・ポアント(TdP)という致死的な不整脈を起こす恐れがあります。

薬は普段は問題なくても、例えば感染症などで体調が悪かったりすると、副作用が強く出たりすることがありえます。

ジフェノキシレートもオピオイド受容体に作用する止痢薬です。麻薬なので乱用・依存を防ぐ対策として、少量のアトロピンが含まれています。

アトロピンは副交感神経を抑えることで、交感神経を優位にするものです。副作用は動悸や頻脈があります。

こちらも、長期内服で副作用の1つである不整脈を引き起こしやすくなったのかもしれません。

さいごに

今回は、過敏性腸症候群の治療薬で死亡率が高まるという件について学んでみました。

この病気自体が比較的若いときに発症して長期間内服するという特性があること、またうつ病と合併しやすいことから、抗うつ薬も内服することが多いという点も特殊性が見られました。

薬は、いま体で起きていることを止めるために、無理やり変化を起こします。

それゆえ、他のところで、その薬による強制変化の弊害が出ることも十分あります。これが副作用です。

治療を優先するのか、副作用を嫌って治療をやめるか、これは症状の強さや薬の効果によって様々だと思います。

抗うつ薬をやめたことで、うつが進行し自殺するリスクもあります。

非常に難しい病気だなと改めて感じました。

では、また(^o^)ノ