みなさんのおうちにも届きましたでしょうか?5年に1度のアノ郵便物。
そうです国勢調査です。国勢調査って聞いたことはあるけど実際どういうものなのかよく知らない方が多いのではないでしょうか?
今日は国勢調査について語学も絡めてのぞいてみましょう(^^
センサス
国勢調査は英語ではCensus(もとはラテン語)と言います。その調査員をCencorと言いました。今、英語ではc→sでcensorというものがありますね、検閲 (官)です。
日本ではtwitterで何を言っても censor (検閲) されませんが、近隣国では政府批判をしたらcensorされます。そんな風に、ちょっとネガティブな意味の単語ですな。
実はもともとのラテン語では 数える(英語のcount)からできているそうです。そこから、”数えて調べて管理”することから、徐々に『検閲』の意味につながったのでしょう。
ふむふむ
国勢調査はご存じの通り、人口のデータを取るもの、つまり数えるものです。歴史を追うとローマ帝国の時代*1からCensusはあったようです。
今年は大規模調査
さて、日本の国勢調査について少し見ていきましょう。
僕はオンラインで昨日行ったのですが、項目が多くて「めんどくせー」ってなりました(笑)それもそのはず今年は2020年と最後尾が「0」の年なので大規模調査の年なのです。
そして、この国勢調査は世帯ごとに答えるわけですが、1つ面白いことがあります。一般的な家庭を考えてもらえば、一緒に暮らしている家族について代表者が答えるだけでいたってシンプルですね。
しかし、家族以外でも同居していることってありますよね?もちろん、恋人の一時的な同棲は住民票変更まではしてないでしょうから別として。そう、ルームシェアです!
ルームシェアしてると、同じ住所に住んでいる、つまり同世帯として扱われるので代表者が全員分答えるという謎なことが起きるわけです(笑)もちろんこの調査は国籍は関係ないので、外国人も対象となります。
データの利用
国勢調査によって国が人口や家族構成などの統計を調べて、政策などに利用することはだいたい想像がつきますよね。例えば、これのデータを利用して地方交付税を決めたり、衆議院の選挙区を決めるのにもつかわれます。
実は公的なこと以外にも国勢調査で得られた統計データは利用されています。民間企業のマーケティングとかにも重要です。このエリアは家族世帯が多いとか、高齢者が多いとかそれは商業では重要なファクターですね。
総務省のホームページから匿名データを得ることもできます。
国勢調査という名
日本で最初に行われた国勢調査は100年前の大正9年(1920年)でした。実際は明治38年(1905年)に第1回を行う予定でしたが、日露戦争と第一次世界大戦の影響で15年遅れました。
ところでこの国勢調査って結局は人口の把握みたいなもんで、「人口調査」としてもいいのでは?と素朴な疑問がおこりますね。実はここで言語学を発動すると・・・(笑)
英語のstateという単語はたくさんの意味があります。それは元々ラテン語のstatusからできたものです。(上図参照)
statusは英語でそのまま取り入れたものと、英語風に変化してstateとなって2つ存在していますが、stateの方が英語では一般的に使われるから(?)時代とともに意味が広がっていきました。
最終的に "国家" まで意味ができた後に、国家 (state) の学問である "statistics" ができました。これが日本語では「国勢学」*2とされました。いまは国家以外にも使う学問なので「統計学」と訳されますが。
国勢調査の言葉の意味はここにあったのです~
また、一説では、意味の分かりやすい『人口調査』とするよりも、”国の勢い”を調べるとした方が、当時西欧に追い付け追い越せの国民の協力を得やすかったのでは?という意見もあります。
無視したら罰金?
国勢調査は統計法という法律で定められている『義務』です。この義務を拒んだり、虚偽の報告を行った場合は 50万円以下の罰金刑に処されます。
また、この国勢調査の時期に出てくる「偽物」に注意しましょう。国勢調査と偽って個人情報を盗み取る詐欺があります。もちろんこれは犯罪で2年以下の懲役 or 100万円以下の罰金となっています。
時代の流れ
元々は調査員が自宅へ来て記入漏れなどのチェックをして回収していました。この調査員は非常勤の国家公務員です。先ほども書いたように国勢調査は『義務』のため、調査回収率はなんと99%近くだったんです、2000年頃までは。。
しかし、プライバシーの概念の強まりなどで、調査員の回収もなかなか難しくなってきました。いまでは回収率は東京では70%くらいまで下がっているというデータがあります。
しかし、中途半端なデータを得るなら、国勢調査は意味がないんです~。
そこで、最近は郵送やオンラインも可能としています。特に今年は新型コロナウイルス感染の拡大でオンラインを推奨しています。
ちなみに調査員のチェックをやめた2010年の国勢調査では記入漏れが相次ぎお粗末なデータだったそうで「"酷" 勢調査」とも揶揄されたそうな。
戸籍制度
ところで日本で最初の国勢調査はちょうど100年前(1920)だと先ほど書きました。アメリカでは1790年に第一回を行っています。なぜ日本は遅かったのでしょうか?
それは日本には『戸籍制度』があったからです。戸籍制度があるのは今は日本、中国、台湾くらいです。韓国は辞めました。
戸籍制度っていうのはザックリ言うと、それで家系図を作れるんです。戦国武将の末裔なんていう人もいますよね?それは戸籍制度があるからこそ知ることができるんです。
欧米などでは、「家系」よりも「個人」で管理しています。わかりやすいイメージが日本のマイナンバーカードのように個人で管理しているということです。
日本では大化の改新(645)のときにも戸籍はありましたが、現代のような本格的な戸籍は1872年の壬申戸籍からです。
いずれにせよ古くから「戸籍登録」という管理があった日本では国勢調査の必要性をあまり感じられなかったのが当初導入が遅れた理由でしょう。
国勢調査の必要性
戸籍制度があれば国勢調査は不要なのでは?というのは我々も感じますね。また、海外のように、「家(戸籍)」ごとの管理でなく個人ごとの管理をするようにマイナンバーなども導入されました。これで人口把握などは簡単なのでは??
マイナンバーでは就労状況わかりませんので、失業率など計算できません。引きこもりの数もわかりません。
また例えば地方から東京の大学に行った学生は住民票を移していない人もたくさんいるかもしれない。住民票ではわからない。
マイナンバーで人口はわかっても、戸籍制度で家族構成がわかっても、まだ足りない流動的な情報(就労状況など)があるのですね。
日本では、戸籍登録やマイナンバーや自動車免許証や保険証などたくさんの個人証明に使えるものがあります。これはある意味 ムダですよね?各省庁が自分のとこだけでの管理を目指し、他との連携を無視したいわゆる”縦割”の弊害ですね。
菅内閣の縦割110番 でなんとかしてくれまへんか?
ではまた(^^)/