アメリカの食事といえば、ハンバーガーにポテト、ピザ・・・
とりあえずカロリーたっぷりのものをイメージします。
今回は、イタリアからの移民がアメリカでの食生活に慣れ、人生が大きく変化した*1というお話から”健康長寿食”について考えてみましょう。
アメリカ移住
ヴァルテル・ロンゴはイタリア・ジェノバの出身で、16歳のときロックを夢見てアメリカにやって来ました。
食べ物に関しては特にこだわりはなく、アメリカにいる親戚らが食べるものを一緒に食べていました。
コーラとハンバーガーが彼の新しい主食になりました。
ジェノバにいた頃は、全粒粉のフリッセルや地中海の野菜を食べて育ってきました。
新たな主食が静かに自らの健康を蝕んでいたなんて全く思いもよりませんでした。
食物繊維、緑黄色野菜が少なく、糖は過剰で、彼の心臓はどんどんとやられていきました。
その後、テキサスの大学に進学したロンゴは、生化学と音楽を学びました。
テキサスでは、メキシコ料理との融合した食事が味わえ、存分に楽しみました。
▼食物繊維はしっかり取ろう▼
重度の高脂血症
LAの大学院に進むとき、彼のアメリカ生活もすでに8年目になっていました。
かかりつけ医に行って健康診断の結果を聞いたとき、衝撃を受けました。
20代前半で高血圧と高脂血症のダブルパンチでした。
偶然にも、彼のUCLAでの研究内容は『断食とカロリー制限と長寿』でした。
研究室の教授は、健康のために摂取カロリーの制限を行っており、彼もその方法を取り入れることにしました。
すると、その効果は見る見る現れ、”長寿”に憑りつかれた彼は、最終的に長寿食ミールキット産業で成功したのです。
ちなみに、6か月後の時点で、コレステロールや血圧も正常範囲に入ったそうです。
長寿食に磨き
彼は、長寿食にさらに磨きをかけることにしました。
同じ研究室の上司で、ベジタリアンがおり、その人の教えを取り入れました。
基本方針は肉や乳製品を減らして、農産物をたくさん摂るようにしました。
彼は野菜中心の食事で、コレステロールの数値がどんどん下がるのを目の当たりにしました。
『長寿』に憑りつかれた彼は、さらに突き進みます、断食です。
ロンゴは、教授がやっていたような厳しいカロリー制限が万人受けしないことをわかっており、断食による長寿研究を進めることにしました。
30年後、ロンゴは南カリフォルニア大学長寿研究所の所長になり、アンチエイジング栄養学のパイオニアで、世界的なベストセラー本”長寿食”の著者になっていました。
断食で若返り
彼は名だたる大学の研究機関と手を組んで、断食の効果を調べました。
すると、短期間の断食で、加齢変化を遅める可能性があることがわかりました。
ロンゴは、断食による”飢餓状態”で、体内ではオートファジーという細胞浄化が行われることがアンチエイジングにつながると考えています。
オートファジーとは細胞が飢餓状態になると、細胞の中身を分解してそれを栄養源にするのです。
人間の体にはおよそ37兆個の細胞があるとされますが、そのすべてでこのオートファジーが起こります。
すると、古い細胞は壊されて、新しく作られる、いわゆる”新陳代謝”を行うのです。
細胞はこのオートファジーによるメンテナンスで常に”最良の状態”を保つようになっています。
オートファジーは60代に入ると、機能が落ちることもわかってきました。
半日断食と長寿食
断食に関心を持つ世の人に対してロンゴは、極端でない方法を推奨します。
固形物を一切取らず、野菜や果物をミキサーしたジュースだけを飲む、いわゆるジュースクレンジングのような手法よりも、夜遅い時間の食事を避け、半日断食(例:午後8時〜午前8時の断食)がよいとします。
食事の内容については、他の”長寿専門家”の主張と同じで、豆類、全粒穀物、野菜、種、ナッツ類をメインにするとよいようです。
これはいわゆる”ブルーゾーン”と呼ばれる90代や100歳超えの長寿が多く暮らしている長寿地域での食事内容なのです。ざっくりと言えば沖縄や地中海料理ということですな。
地中海料理のマネとか言って、なんでもかんでもオリーブオイルを大量にかける勘違いさんが多くいるわけですが、それはただただカロリー過多につながります。
ロンゴは1日に小さじ3杯までの”適量使用”を推奨しています。
また、これらの食事をするにあたり、わざわざ大金を使ってまで有機無農薬野菜のお店に行く必要はなく、スーパーで売っているような冷凍のブロッコリーや人参、豆類を使えばよいとしています。
とりあえず、手間がかかりしんどすぎる食事は長く続かないからです。
▼西洋食と地中海食▼
さいごに
いかがでしたか?
個人的にアメリカに住んでみたいとずっと思ってきました。なんとなく。
ただ、海外旅行から帰るといつも「やっぱ日本が住みやすいな」と感じてしまう”愛国者”です(笑)
日本人も長生きとして知られますが、重要なのは公的医療保険制度の充実により誰もが安価に標準医療を受けられるという最大の特徴があることです。
それ以外の因子としては、もちろん東洋人の遺伝子レベルの話もあるかもしれませんが、生活習慣病を考慮すると食生活は非常に重要です。
日本食ブームがあるのは、美味しくて健康的と世界的に認知されてきた証拠です。
一方で、戦後の食の欧米化に伴い、現実問題、生活習慣病の増加、大腸癌の増加などが起きています。
食事を見直す際、幸いにも私達には”和食”というものがあり、食の転換に大きな努力は必要としません。
その中に、長寿食のエッセンス(野菜、全粒穀物、半日断食など)を取り入れればよいだけです。
では、また(^o^)ノ