マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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『歴史問題はビジネス』→うん、知ってた

当ブログの読者の皆様はもう「当たり前」な事実なわけですが・・・

今回は、朝鮮日報の記事*1をかいつまんで見ていきましょう♪

被害者ビジネス

世の中には被害者ビジネスというものが存在します。

日本でもCMでよく『過払い金』の話をよく目にしますね。

銀行にお金を貸してもらえないと消費者金融から高い金利で借りるわけですが、法律での上限は15~20%でした。

しかし、これは超えても罰則はありませんが、出資法の方では29.2%を超えると罰則ありでした。そこで、その間の29%とかの高金利でお金を貸していたのです。

過払い請求のしくみ

2006年の出資法改正で、このグレーゾーン金利というものがなくなり、それまでに払いすぎたお金を取り戻そうというのが過払い請求です。

成功すれば取り戻したお金の20%くらいは成功報酬で弁護事務所に支払うわけです。

最近は、C型肝炎訴訟ビジネスがブームです。

ま、思うところは色々あるにすれど、弁護士にはこちらから『依頼』した上で、お金を払うので、そういうもんなんかなー(笑)

しかし、市民団体とか、支援団体と名乗る、あたかも善意であなたたちを支援します!!と言わんばかりの団体が、成功報酬もらってたらいかがでしょうか?

徴用工被害者

まず、基本的な知識の整理をしましょう。

記事でまず出てくるのは徴用工問題です。これについては過去記事で詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

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戦時中、日本で朝鮮半島出身者の”徴用”を開始したのは1944年9月からの7か月間だけです。それ以前に来た人は自発的に職を求めて日本に来ました。

徴用工問題の真相(『反日種族主義』李栄薫)

で、徴用工もタダ働きではありません。強制ではなく募集orあっせんで、正当な報酬が支払われており、人気の職業でした。

裁判を起こしている理由は、その未払金があったので払ってほしいというものです。これは慰安婦問題も同じでしたね。

慰安婦問題の真相

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北朝鮮による日韓離反作戦

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成功報酬20%

いよいよ記事に入っていきます。

徴用工被害者を支援する市民団体が、どんな形であれ、お金を受け取ったら、成功報酬としてその2割を払ってもらいますよという取り決めをしていたことがわかったのです。

過去史ビジネス

これにより、韓国内でも『過去史ビジネス』だと言われています。

被害者を助ける!というきれいごとを言って、実際はお金もうけの道具でしたというオチ。

悪徳”民弁”

みん弁って、『みんなの弁護士』みたいなの日本にもありそうですね(笑)

記事に出てくる民弁というのは、韓国の『民主社会のための弁護士会』という組織のことです。こいつらがまた悪徳なようです。

民弁とは

2010年からの5年間で、韓国政府を相手にした損害賠償訴訟の請求額は1兆2500億ウォン(約1250億円)で、多くは民弁の弁護士らが担当したものだったと。

北朝鮮を擁護?

ちなみに、民弁の統一委員長だった弁護士は、どうやら親北のようで、大韓航空機爆破事件(1987)では、逮捕された金賢姫は「偽物で、北の工作員ではない!!」と必死で北を擁護していました。

慰安婦ビジネス

記事ではさらに慰安婦ビジネスにも触れます。

慰安婦運動も過去史ビジネス

ま、当ブログで何度も扱った内容です(笑)

慰安婦支援団体、通称”正義連”の元理事長の尹美香は、韓国の国会議員です。正義連のお金、1億ウォン(約1000万円)を横領したとして起訴されています。

尹 美香の疑惑

彼女のご主人は、北朝鮮のスパイとして過去に起訴*2されています。

法外な著作権料を取る*3慰安婦像の作家は、親北と知られており、後に正義連の理事になっています。

慰安婦像の著作権は1体300万円以上

お気づきの通り、正義連も、北朝鮮とのつながりを疑われ監視対象*4です。

ま、この辺の詳細は過去記事↓↓にまとめています。

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雇用提供のため

そして、もちろん集まったお金を横領するトップがいる中、もう一つは自分たちに近い存在の雇用です。

左派が牛耳る委員会

国の予算で運営される、過去史調査委員会は昔から、現在の野党(左派)の人たちが、ずっとポストを独占しています。

雇用提供のため

そこでは、調査員として経験のない非専門家も多数雇用し、給料を発生させています。つまり、左派の人たちが支配し、左派の人たちに分配する構造です。

これが、過去史ビジネスだと。

さいごに

いかがでしたか?

人の不幸に付けこんでお金儲けをするのは、あまりよろしいと思いませんが、ビジネス的な視線からすれば、「賢い」とも言えるのかもしれません。

しかし、国内だけでやってくれればいいけど、日本にまで矛先が向くのは・・・

 

では、また(^^♪

【サク読み】結局、BCGはコロナに効くの?

コロナ禍が始まったころ、日本のようにBCG接種をしている国ではコロナ被害が少なく、接種していない国では被害が多いということがいわれ、BCGが結核だけでなく、新型コロナに対しても防御するのでは?という可能性が言われていました。

今回はこの辺、NEJMで発表されたランダム化試験の結果*1をもとに学びましょう。

BCG

まず、基本の確認をしておきましょう。

BCG(Bacille de Calmette et Guérin)というのは細菌の名前で、日本語ではカルメット・ゲラン桿菌と呼ばれます。一般的には、このBCGを使って作成した結核用のワクチンをBCGと呼んでいますね。

BCGとは

BCGは結核ハンセン病などの予防に有効です*2

BCGは生ワクチンで、インフルエンザなどの不活化ワクチンと違って、実際の微生物そのものを弱毒化させているので、まれに感染することもあります。一方で、半永久的な効果を得られるというメリットがあります。

生ワクチンとは

また、もう一つ重要なのは細胞性免疫を誘導することができる点です。これは、生ワクチンとmRNAワクチンの特徴です。

そして、この細胞性免疫により、新型コロナに感染しても重症化しにくいんでは?というオフターゲット効果が言われていました。

複数の国の共同研究

今回の論文はオーストラリア、オランダ、など複数の国での共同研究です。

時期としては2020年3月~2021年8月に行われ、コロナ発症や重症化などを追いかけました。

複数国の共同研究

医療従事者(平均年齢42歳)を対象に、コンピュータによりランダムに2つのグループに分けられます。

1つのグループはBCG(デンマーク株)、もう1つのグループは生理食塩水(プラセボ)を皮下注射され、自分がどちらを打たれたかは本人も知りません。

両群でコロナ発症、重症化症例を比較

とりあえず半年間、両群を比較し有症状のコロナ発症数と重症化症例を比較しました。

半年後・・・

早速結果を見てみましょう。

半年後の段階で、参加者3988人のうち、新型コロナ発症は238人いました。

内訳は、BCG群が132人、プラセボ群が106人でした!

BCG群の方が発症者は多かった

BCG群の方が発症者数が、多かったのです。もう一つの比較、重症例はどうでしょうか?

重症者数もBCG群で多かった

なんと、重症者数もBCG群の方が多かったのです。先ほどの発症者数と、重症者数を比較すると両群とも約半数が重症だということがわかります。ここも差がないので、BCGによる重症化予防も関係なさそうですね。

ところで、『重症化率高すぎ』なんですが、この研究での『重症』の定義は、しんどすぎて3日以上働けないというのが最低条件とユルめです。

ちなみに入院したのはともに5例ずつで、死亡はプラセボ群で1人いました。

論文の考察

それでは、論文内の考察を見ていきます。

過去にもBCGとコロナ感染、重症化に関する研究報告は多数あり、結果は賛否両論。むしろ、BCG接種群の方が重症化率が高いとする南アフリカの研究*3すらあります。

結果がバラバラとなる原因

これらの結果がバラバラとなる理由は、たくさん考えられます。研究デザインの違いや、参加者の年齢層、国のBCG接種率の違い、BCGの型の違いなどが考えられます。

そこで、今回の研究の強みとしては、1国だけでなく複数国で、さらに同じ型のBCGで行ったということがバイアスを減らす意味での強みとなっています。

さいごに

今回の研究での結論は次のようになります。

BCGでコロナリスクは下がらない

少なくとも今回使われたデンマーク株のBCGでは、コロナ感染・重症化リスクを下げませんでした。

いずれにしても、この研究の途中からコロナワクチンが開始され、重症化予防の効果がしっかり確認された今となってはBCGを追い続ける理由はなくなりました。

また、何度もお伝えしていますが、コロナワクチン(mRNAワクチン)は初期の2回以上接種で健康な人は重症化予防が比較的長く保たれます。

さらに、今はオミクロン株に変わっているので、若くて健康な人が頻繁に追加接種するメリットは少ないです。(因みに私は3回接種です。)

若くて健康→2回接種でも十分

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では、また(^^♪

*1:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2212616

*2:ne PE et al. "Issues relating to the use of BCG in immunization programmes." WHO documentation (1999).

*3:Upton CM, van Wijk RC, Mockeliunas L, et al. Safety and efficacy of BCG revaccination in relation to COVID-19 morbidity in healthcare workers: a doubleblind, randomised, controlled, phase 3 
trial. EClinicalMedicine 2022;48:101414.

『中国、6月にコロナ再拡大』

昨年末、急な『ゼロコロナ政策撤廃』から一気にコロナ感染が広がり、一時は火葬場への行列などが報じられていた中国ですが、最近中国の専門家らが『6月再拡大』の警告を出しました。

今回は中国の、”再感染”問題についてみていきましょう。

ゼロコロナ終了

少し振り返っておきましょう。

2022年サッカーワールドカップ、カタール大会で中国は出場していませんでしたが、若者の関心は強く、さらに中国の企業がその大会に大きく関わり、『我が国はすごいだろ』と国民に示すためにも、中国国営放送で中継することを決めました。

たしかにいたるところに漢字の企業が見られましたね。

ところが、その判断が裏目に出ました。カタールでは誰一人マスクもしておらず、ソーシャルディスタンスなんてありません。

BBC:中国とカタールは別の惑星?

そのとき、中国内では集まりが禁じられており、ワールドカップも家で個人で見ること*1とされていたので、ネットを中心に不満が爆発しました。

そんなこんなで、中国政府は国民の不満爆発を恐れ?、急遽ゼロコロナ政策をやめ、規制を撤廃しました。

さらに詳しく

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中国政府によると、2カ月で8万人以上が死亡*2したと言いますが、在宅死は含まれておらず、実際はもっともっと多かったと考えられています。

人口の8割が感染

ゼロコロナ終了後の感染大爆発で、14億いる中国民の80%(約11億人)が感染した*3との中国側の見解が報じられました。

中国の人口、ホント?

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ワクチン接種+実際の感染の合わせ技、いわゆる”ハイブリッド免疫”が有効*4なことがわかっており、少なくとも1年間はコロナによる入院・重症化はありません

ハイブリッド免疫が有効

そして、半数の人は1年以上、再感染を免れ、ワクチンなしで感染のみの場合でも4人に1人は1年以上は感染を免れます。

逆を言うと、感染のみでは1年以内に再感染しうるということです。

中国でのワクチン接種率は約90%*5で、さらに人口の8割が既感染で、ハイブリッド免疫を持っていると考えれば、こんな早々に大きな波は来ないはずですね。

なぜでしょうか?

中国のワクチン

理由の1つとしては、中国製ワクチンです。

中国独自のワクチン(シノバックなど)はファイザーなどのmRNAワクチンより効果が劣る*6*7ことはわかっております。

6月には6500万人/週か

こういった背景もあり、中国でのハイブリッド免疫は、他国ほど強固なものでないと考えられているというわけです。

実際、中国では既に4月から感染が広がっており、発熱外来もパンクしているようです。中国の感染症の専門家によると、6月には1週間で6500万人(≒日本の人口の半分)の感染の予測を出しています*8

見えない波

しかし、中国では4月以降、コロナ患者の統計発表をやめたので、実態はつかめません*9

見えない波になる

これに関してはどの国もそうなんですよね。日本でも5類移行とともに定点把握と言って、医療機関から毎週報告された数だけを集めるようになります。さらに、死者数の毎日の報告もなくなり、2カ月くらい遅れて人口動態で知ることになります*10

XBB用ワクチン

もう一つ中国で感染再拡大が心配されている理由は免疫逃避能を持つXBBの拡大です。中国は大急ぎで現在流行しているXBBに対応したワクチンを作りました。

ちなみに一応、今年3月に中国製mRNAワクチンも誕生*11しているので、今後応用されるでしょう。

XBBに特化したワクチン開発

XBB系統(オミクロン株の1つ)はBJ.1BM.1.1.1組み換え体で、1つの細胞に2つのウイルスが同時感染して起きたものです。

XBBはBA.2の親戚

細かい話を抜きにして、BJ.1もBM.1.1.1もBA.2系統の変異株なので、XBBもBA.2に近い性質と考えられています。

XBB.1.5とは

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WHOも次のワクチンはXBBに照準を合わせて作るように推奨を出していますが、免疫逃避能があるので感染予防的にはあまり頼りにならなさそうです。

終わらない戦いへ・・・

残念ながら、やはりコロナとの戦いは終わらないのです。

さいごに

いかがでしたか?中国でまた大きな感染の波がやってくると警戒されています。

大多数がこの冬に感染したにも関わらず、早くも再感染が広がるとされるのは、中国製ワクチンでは十分なハイブリッド免疫とならない可能性が1つ、あとは今急増している免疫逃避能をもつXBBの感染拡大です。

ちなみに日本は今年の2月時点で、抗体検査から国民の約43%が既感染*12と想定されております。要は、ハイブリッド免疫を持つ人も4割くらいしかいないということです。

5類化で見えなくはなるけど、日本でも対岸の火事ではなさそうです。

では、また(^^♪

麻疹について学びなおそう

新型コロナ感染症が5類感染症に変更となり、少しずつ前の生活に戻りつつある中、何やら騒がしいのが同じく5類の『はしか』ですね。

今回はこのはしか(麻疹)について復習しておきましょう。

東京で3年ぶり

まずは今騒がれているニュースをさらっと触れておきましょう。

ゴールデンウィーク後半の初日 5月3日、30代女性と40代男性(A氏)に発熱や咳などの症状があり、その後の検査で麻疹と診断されました。

東京都内での発生は、なんと3年ぶりということです。

東京都では3年ぶりの発生

詳しく調べると、この2人は4月23日に新幹線を利用していました。

この同じ車両に乗っていた30代男性(B氏)は、既に麻疹症状があったことから、この男性から感染したものと考えられます。

B氏は、4月14日にインドから帰国した30代の男性でした。麻疹の潜伏期間は1~2週間位ですので、インドで感染したと考えるのが妥当です。

インドから帰国した男性

厚生労働省によると、インドやネパールでは麻疹が流行しており、風土病*1とされています。実際、今年の1月後半からネパールとインドの国境付近でアウトブレイクが発生しています。

5月4日にも新幹線利用

また、5月3日に受診したA氏は、翌5月4日にも新幹線を利用しており、今後の麻疹の発生が危惧されています。

『命定め』

さて、それでは麻疹(はしか)についてみていきましょう。

はしかい

古来からの日本名・”はしか”は『はしかい』という(チクチク的な?)方言に由来するとされます。

中国では、皮疹が麻の実のように見えることから麻疹と呼ばれていました。

麻の実と麻疹

麻疹はかなり昔から認識されており、江戸時代でも13回の流行があった*2と言われています。

かつてはたくさんの人が命を落とし、有名どころでは、生類憐みの令で有名な徳川綱吉やハワイの国王、カメハメハ2世も麻疹で亡くなっています*3

麻疹で亡くなった有名人

天然痘と並んで致死率が高かったので、かかれば死ぬかもしれない『命定め』とも呼ばれていました。

現代では、医療の発達で死ににくくはなり、先進国での致死率は0.1~0.2%くらい*4です。

麻疹ウイルス

次に、原因となるウイルスについてみていきましょう。

麻疹ウイルスは、インフルエンザやコロナウイルスと同じくRNAウイルスです。

DNAウイルスとRNAウイルス

しかし、麻疹ウイルスは大きな変異が起こりにくく、一度感染したらもうかからないと言われています。

麻疹ウイルスは感染力がエゲつなくて、空気感染するので、同じ空間にいれば、マスクをしていようが余裕で感染します。

ツバなどの飛沫ではウイルスが水に囲まれています。この水が蒸発すると飛沫核になります。

多くのウイルスはこうなると感染力を失いますが、感染力があれば空気感染をします。

空気感染する

このウイルスは免疫にかかわるリンパ組織に感染するので、免疫抑制が起こってしまいます。厄介です。

麻疹の症状

ウイルスに曝露してから10日ほどで、発熱や咳などのかぜ症状が出ます。

熱は3日ほどで下がりますが、そのころから口の中に特徴的な白い斑点(Koplik斑)が見られたり、目やにが多くなったりというものが見られます。

麻疹の症状

熱が下がったのに半日~1日後にまた高熱(二峰性発熱)が出て、そのときに体幹部を中心に発疹が広がります。

この頃にはかぜ症状もまたひどくなっていることが多いです。

数日で症状は落ち着いていき、皮膚症状も1週間くらいで治まってきます。

合併症

厄介なのが、合併症です。

少し古いですが、2000年の大阪のデータ*5では、発症すると約30%に合併症が発生し、約40%が入院加療になると。

今回のニュースの二人も入院しましたね。

亜急性硬化性全脳炎とは

その中でも怖いものが亜急性硬化性全脳炎(SSPE)です。感染した人のうち数万人に1人というまれな合併症ですが、6~8歳に起こりやすいです。

治療法はなく発症すれば死にます

感染後、ウイルスが中枢神経に入り、変異を起こして脳に持続感染します。何年かかけてゆっくり蝕んでいき、性格が変わったり、知能低下したり、歩けなくなります。

ワクチン接種

麻疹はワクチンで予防可能で、唯一の予防法です。

人口の93%以上が接種していれば、麻疹は発生しない*6とされています。(集団免疫

ワクチン接種

実際、「東京都で3年ぶり」というほどに日本では見られなくなりました。

2008年以降、小児のワクチン接種を進めていき、2015年にWHOは日本を『麻疹排除状態』に認定しました*7

根絶できない

近年、麻疹のワクチン接種後、抗体価は10~15年で減弱する*8ことがわかってきました。

ということは、終生免疫があると考えられてきた麻疹は、下図の右側なのでしょう。

終生免疫とは

つまり、接種後、抗体価は下がっていくけど、周りにチラホラ麻疹の感染者が1人でもいれば、すごい感染力なので、ウイルスに曝露され、その都度免疫が働き抗体価が再度高められていた?というのが、麻疹の終生免疫なのでしょうね。

ところが、『麻疹排除状態』となり、周りに麻疹患者がほぼいなくなってしまうと、定期的な曝露がないので、抗体価は経時的に下がります。

すると、流行国からの流入で、感染しうるということです。

で、その感染が、未接種の幼児に移ると・・・( ゚Д゚)

ちなみに、感染後は強い免疫応答が起こりますので、上図の左側のように一生涯抗体価が高いままなのかもしれませんが、あえて感染するのはリスクが大きいですね。

さいごに

最近、騒がれている麻疹についてまとめてみました。

感染後の亜急性硬化性全脳炎は子供に多いという話をしました。

ワクチンの効果が15年ほど続くのであれば、小児期に感染して脳炎になるリスクはぐんと下がるので、それで十分っちゃ十分です。

ただ、世界的にその子供の接種率が低下しているのが今問題です。日本も例外ではありません。

コロナ禍の受診控えでBCGワクチンや麻疹ワクチンを接種できていない子が増加しています。また、コロナワクチン押しすぎて『ワクチン疲れ』も国民にはあるでしょう。

しかし、子供のうちに打っておくべき予防接種は必ず打ちましょう。

では、また(^^♪

*1:https://www.forth.go.jp/topics/2023/20230320_00001.html

*2:加藤茂孝「麻疹(はしか)―天然痘と並ぶ2大感染症だった」『モダンメディア』第56巻第7号、2010年、159-171頁。

*3:Theophilus Harris Davies (July 26, 1889). "The last hours of Liholiho and Kamamalu: a letter sent to H.R.H. Princess Liliuokalani presented to the Hawaiian Historical Society". Annual report of the Hawaiian Historical Society 1897. pp. 30–32.

*4:http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/report2002/measles_top.html

*5:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/12/s1213-5f.html#hyo2

*6:https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/255149/WER9217.pdf;jsessionid=A2852653A211CEB0677059F1E9CDF11E?sequence=1

*7:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html

*8:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7026886/

韓国紙『我が国は詐欺大国』

さて、久々に韓国の記事もご紹介いたしましょう♪

今回は朝鮮日報の記事*1ですが、韓国社会に蔓延する”嘘”を嘆いています。

それでは詳しく見ていきましょう~

詐欺師の殿堂

記事はまず、世界で有名な詐欺師の伝説について簡単に紹介しています。

その後、話は韓国内に移ります。

「詐欺師の殿堂」がもしあれば・・・

詐欺師の殿堂というものがあるのならば、韓国の詐欺師たちもそこに多数名前が挙がってくるだろうといいます。

あ、ちなみに韓国語で詐欺は사기(サギ)で、詐欺師は사기꾼(サギクン)と言います。覚えやすいでしょ?(^^♪

OECD加盟国でトップ

当たり前の話ですが、世界中どこでも犯罪はあります。

そんな中で、多くの国で犯罪の種類で一番多いのは『窃盗』なんだそうです。

韓国では詐欺が堂々1位

しかし、韓国では『詐欺』が犯罪の中で一番多いのです。

しかも、件数は年々ものすごい勢いで増えていると。

2011年の20万件から2020年には35万件と、10年の間に60%増加と、たしかに急増ですね。

OECD加盟国でトップ

ちなみに、日本の2021年の詐欺件数は1万4498件*2というデータがあります。つまり、日本の20倍以上の件数ということです。

OECD加盟国の中でも、韓国の詐欺犯罪率はトップで、14歳以上の韓国民の100人のうち1人が毎年被害に合う計算だそうです。

他人を信用しない

さて、そんなに詐欺が横行している国では、国民は当然疑い深くなります。

世界各国の価値観調査では、「ほとんどの人は信用できる」という質問事項にに同意する韓国人の割合はたったの27%でした。

『他人を信用できる』27%

高かったのはスウェーデンが62%、日本も高くはないですが、39%と韓国とは大きく差がありました。

“詐欺大国”の副作用で国民の『人間不信』を生み出してしまいました。

罪の意識が軽い

もう一つ、詐欺が蔓延していることで、国民でよろしくない傾向が見られました。

犯罪で10億ウォン(約1億円)もらえるなら、1年間刑務所に送られてもいいか」という質問に対し、韓国の高校性の55%が「構わない」と回答したのです。

罪の意識が薄い

これに関しては、日本との比較はなかったのでなんとも言えませんが、日本でも最近『闇バイト』でロレックス強奪したりするような若者もいるし、罪への意識が軽いのは、日本も韓国も残念なことですね。

たしかに、『楽して稼げる』を夢見てyoutuberしたりする若者らを見たら、納得は行きますな。

「人を騙すのは才能」

記事はまとめに入ります。

政治家は堂々と国民をだまし、スポーツ選手は八百長までやる。入試では学歴詐称などのごまかしが横行する。

嘘が溢れる社会

競争社会の韓国ではこの問題は有名で、尹大統領の奥様の学歴詐称*3も取り上げられてましたね。非常勤講師なのに勝手に”副教授”と名乗っていました。

韓国で2007年に学歴詐称が社会問題になってましたが、その時に自欺欺人(자기기인)という言葉が流行語?になったこともありましたな。要は自分までも欺く詐欺師という意味です(笑)

『他人を騙すのは才能』

17世紀の朝鮮王朝を体験したオランダ人ハメル「朝鮮人は他人をだましても恥ずかしくなく、むしろうまいことをやったと考える」と伝えていましたが、果たして現代はその時と変わったと言えるだろうか?と、詐欺が蔓延する社会に嘆いて記事を結んでいました。

さいごに

いかがでしたか?

正直この話題は、よく耳にしますが、実際数字として日本と比較したことなかったので、今回は驚きました。

僕の仲のいい韓国人のお兄さんは、日本で韓国料理を食べに行った時も「韓国人の俺に対してもボッタクリしてくるからアイツら」と怒っていたのを思い出しました。

日本でも特殊詐欺などの問題はあります。残念ながら撲滅はできません。

世の中はいいひとばかりじゃないんだよ!これを心に留めて生きることにしましょう♪

 

では、また(^^♪

米 ”コウモリウイルス研究費”再開

ウイルス研究は非常に重要で、ワクチンや治療薬の開発に重要な情報を提供します。

ウイルスの研究には、安全設備の投資なども含め莫大なお金が必要となり、国からの助成金や企業からの資金提供により行えます。

新型コロナの国家非常事態宣言を終えたアメリカではこのウイルス研究への助成金に動きがありました*1

背景の復習

これも何度もこのブログで扱った内容なのでサラっと。

研究室のランク

ウイルスの遺伝子を操作して、強毒にしたり、人に感染しやすくしたりする研究を機能獲得試験といいますが、これは何重にも厳格な安全策が取られたBSL-4というレベルの研究室で行われます。

ところが、いくつかの米国内研究室で不適切な取扱いが見つかり、2015年オバマ政権で国内での危険ウイルス研究を3年間中止しました*2*3

米国内での危険ウイルス研究中止

それでも、危険ではあるもこのようなウイルス研究は今後のためには必要なのも事実です。そこで、2015年に完成した武漢ウイルス研究所の新施設に、アメリカは370万ドル(うちコロナウイルス関連は60万ドル)の資金提供*4し委託することにしました。

これを仲介したのが、ファウチさんとダスザックさんです(下図参照)。

アメリカと中国との協力関係

アメリカ国立衛生研究所(NIH)がダスザック氏のエコヘルスアライアンス経由で資金提供しました。

今回の報道は、ここから話がスタートします。

 

当ブログは研究室流出説支持

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研究費の再開

そもそも、武漢ウイルス研究所への資金提供を行った目的は、2003年に起きたSARSウイルスの研究でした。

SARSウイルスの研究に資金提供

ところが、2019年末に武漢で新型コロナ感染症が発生し、世界に広がり始めました。

トランプ大統領は、武漢ウイルス研究所からの流出を強く疑い、2020年4月、資金提供を中止*5しました。

次のパンデミックに向けて研究をしなければいけないと考える研究者らが多いのは当然ちゃ当然です。

先日、国家非常事態宣言が終了し、バイデン政権は3年ぶりにコウモリウイルスの研究費を出すことを決めました。

エコヘルスアライアンス経由で資金提供

今回もまた、エコヘルスアライアンスに資金提供しますが、危険なウイルスの混合はなし!!でという条件がついています。

要は、機能獲得試験はしないことを条件に研究費を与えますということですな。

武漢研究所はナシ

そして、今回の研究費提供では、以前から安全対策のユルさが指摘され*6、さらに『研究室流出説』が疑われている武漢ウイルス研究所は資金提供の対象から外れました

武漢ウイルス研究所は関与なし

正直、これは政治の兼ね合いもあるでしょう。

10年前くらいは、アメリカは中国をまだ下に見ていて、『安い労働力』を求め、中国へ近づいてきましたが、中国の経済力・影響力が大きくなった今、アメリカは中国と距離を置くようになっています。

シンガポールの医大と提携

仲介するエコヘルスアライアンスは今後シンガポールの医大と提携し、主にそこでコロナウイルスの研究を行うことになります。

さいごに

いかがでしたか?珍しく短い記事ですが、たまにはいいもんですな。

また将来新たなパンデミックが起こるでしょう。それがいつかわかりません。

またそれが、インフルエンザの変異なのか、コロナウイルスの変異によるものかも予測できません。

こう考えると、長期に研究をストップするのはよろしくないという判断です。

そして、世間が注目する『研究所流出』によるパンデミックの不安が消えない間は、『機能獲得試験禁止』『武漢研究所除外』などの条件付きでの研究としないと、政権も支持率低下につながる恐れがありますし・・・

ま、妥協案といったところでしょうね

 

では、また(^^♪

LGBTQの話題、最近よく聞くワケ

ここ最近、しょっちゅう話題に上がってくるLGBTQ。

世界的な流れで、マイノリティーへの人権保障をというのが一般的な解釈です。

なぜ近年ここまで騒がれるようになったのでしょうか?

今回は、その裏側を覗いていきましょう♪

LGBTQの急増

アメリカ abc news の記事*1を参照しながら学びましょう。

LGBTは一世代前より倍増

この記事では、LGBTで統一していますので、ここからはLGBTと書きます。

世代を追うごとに自分はLGBTだという人は倍増しています。時代とともに公表しやすくなったということもあるでしょう。

一方で、CSPIという調査会社の報告*2を見てみると面白いことがわかりました。

乖離が見られる

30歳未満の若いアメリカ人を対象に見てみると、自らをLGBTだと名乗る人の割合は11%増加していますが、性的パートナーが同性だという人は4%しか増えていないのです。

元グラフも貼っておきます。

性自認と性的パートナー(CSPI report より)

2008年を見ると、LGBT自認 5.4%と同性パートナー 4.8% と近似していますが、時代とともにそこの差は開いていきました。

異性とのみ”関係”

さて、このデータの乖離はなぜでしょうか?

ま、考えれば簡単ですが、一つはLGBTのB、Bisexualです。男女両方ともOKな人です。

しかし、このBの人たちだけが大量に増えるというのは不自然です。

『異性とのみ関係を持つ人』で増加

CSPIの報告では、近年のLGBTの増加は、同性愛の急増ではなく、異性としか関係を持たない人たちの中で、LGBTと自称する人が増えているとしています。

ま、先ほどのグラフからはそのくらい我々でも読み取れますな(笑)

ただ、アメリカのすごいところはさらに背景までしっかり調査します。

極左思想の若者がLGBT急増の理由

人の思想や環境というのは結果に大きく影響を与えるのですが、日本では、何かと『差別』というキーワードで阻止される調査ですが、アメリカではやります。

調査で分かったことは、極左思想のある若者では自身がLGBTであると名乗る傾向が強く、その人たちが近年のLGBT急増の主要な層であると。

要は「男」とか「女」でひとくくりしないで!って主張の人が増えてるってことです。

フェミニズム運動にも関連ありですな。

精神的な問題も

またLGBTを自称する人たちにはいくつかの関連も調査からわかっています。

精神的な問題、リベラル思想、LGBT

これも先ほどのCSPIの調査によるものですが、うつなどの精神的問題と左派・リベラル思想、LGBTとは強い関連が見られたのです。

これに関しては、過去にLancetに掲載された論文*3でも触れられていました。

LGBTとメンタルヘルス

2021年の調査で実に76%のLGBTの人が、常に悲しみや絶望を感じていると答えました。相関は見られますが、うつ症状とLGBTどちらが先にあるのかは不明です。

政治的な影響

ここまで見てきてわかったと思います。

LGBTが急増しているのは、何も人類の遺伝子が何かしら影響を受けて、急増しているわけではなく、社会変化とともにリベラル思想のある人たちが自らをLGBTだと称する割合が急増したからでした。

「男と女だけに分けないで」

もちろん、昔と比べ、公表しやすい下地があり、実際の異性愛やバイセクシャルの人が多くなったのも少しは関係があるでしょう。

日本でLGBTの法案に反対する人たちは右派が多いことを考えると、政治的思想が大きく関係すると考えると納得がいきますね。

では、次に日本で最近LGBT関連のことがゴリ押しされている背景も見てみましょう。

2人のアメリカ人

もちろん、「日本は遅れてる」なんて言われるのは心外なので必死に欧米についていきます。特にアメリカ。

日本は自民党という保守的な、右寄りな政党が長らく支配しています。となると、このLGBTの話はなかなか進まないことが予想できますね。

ならば、なんとか左派政権のアメリカは日本に圧力をかけようと考えた?のかもしれません(←ここは想像)

 

4月中旬、岸田首相の奥様が、バイデン大統領の奥様に招待され、単独渡米*4したのは記憶に新しいですね。

岸田首相夫人、単独渡米

過去にアメリカ大統領夫人が日本の首相夫人を招待したことはありません。

このジル夫人は長らくLGBTの支援をしてきた人です。その影響もあり、バイデン大統領も同性結婚を認めました*5

今回の特別招待も何かあるかも?しれませんね。

そしてもう一人、日本に影響を与えそうな活動家が駐日大使エマニュエル氏です。

エマニュエル駐日大使

鉄道愛好家として知られ、阪急のフカフカシート*6京急に乗って興奮する*7ようなお茶目な印象の彼は、元シカゴ市長です。

東京のLGBTパレードにも参加*8し、最近は日本のLGBT法整備の遅れを批判*9しています。そうです、彼も長らくLGBT政策に尽力してきた、まぁ活動家です。

アメリカの民主党はリベラル、左派・・・ですね。

もしかしたら、アメリカで次共和党が勝てばこの流れは終わるでしょうね。

さいごに

いかがでしたか?

LGBTの話題が最近ごり押しされている理由はなんとなくわかりましたでしょうか?

リベラル、左派が主体となっているもので、アメリカのバイデン大統領は左派の民主党、奥様はLGBTの活動家、さらに駐日大使のエマニュエル氏もLGBTの活動家・・・

世の中のありとあらゆるものは政治で作り出されているんだなと改めて実感しました。

いずれにしても、アメリカで通用するものを丸々受け入れるのは合理的ではありません。日本には温泉文化もあります。

女性専用をスパをLGBTが使う

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では、また(^^♪

アメリカもやっと『コロナ禍終了』?

5月8日より、日本では新型コロナ感染症はインフルエンザと同じ5類感染症になります。

もちろん、これでウイルスの性質が変わるわけではありませんが、とりあえず社会としてのコロナ禍は一区切り終わったと言えますね。

よく、日本だけマスクしてて『取り残されている』と思われがちですが・・・

今回はアメリカの近況を学びましょう♪

アメリカでもやっと

マスクつけるのは『病人』と考える欧米では、マスク着用に相当な抵抗がありました。しかし、積みあがる死者を目にし、国もマスク義務化などしていました。

その後、ワクチン接種やオミクロン株の登場により、もはや大きな脅威でないと判断されると、2022年にコロナ規制はほぼすべて緩和されました。

非常事態宣言解除

もうとっくにコロナ禍は終わった雰囲気のアメリカですが、2020年に出された国家非常事態宣言は、2023年5月11日で解除することに決まりました*1

おそらく日本も、そのタイミングの近くに合わせたのとG7より前で、GW明け・・・

日本も同じくらいに

ってことで5月8日に5類感染症へ移行としたんでしょうね。

実際は、アメリカでは上下院で「もう早よ終わらせようや」と決議され1カ月前倒して4月11日に非常事態宣言を解除しました。

そして、残っていた水際対策も5月11日に終了となり、やっと社会的なコロナ禍の終了と考えると、日本と同じくらいですね。

ちなみに5月5日WHOも非常事態宣言を解除*2しました。

日本とは意味が違う

今回は超名門・Lancet誌の論説*3を見ていきましょう。

社会としてのコロナ禍終了

アメリカはコロナで死者数は累積で112万人*4(記事作成時点)と世界最大の被害を出しました。
同時期で日本の死者数は7万3000人ほどで、実に16倍の差です。

そのアメリカで、この『コロナ禍』の終了というのは非常に象徴的な出来事になります。

新型コロナ死者数推移

この図を見れば、差は歴然ですね。日本のコロナ対策は優秀です。

超過死亡率の推移

コロナ前の傾向から予測される死者数を超える”超過死亡”の割合も、当然日本は優秀となります。

何が言いたいかといえば、アメリカでのコロナ禍終了は、日本での5類移行とは比べ物にならないくらい大きな意味を持つということです。

どう変わる?

さて、アメリカの社会的なコロナ禍終了に伴いどう変わるのでしょうか?

コロナ禍終了以降・・

コロナワクチン接種は少なくとも2024年9月末までは無料ですが、検査費と治療費は自己負担となるだろうと。これは日本のような保険ではなく、個人で民間の保険を契約するので保険会社によって変わるのでこのようなあいまいな表現です。

見えなくする

また、各州のコロナ感染者報告やワクチン接種状況の公表をやめます。こうして、『見えなくする』という方針です。

反省会をしよう

社会的コロナ禍終了に伴い、コロナ禍の反省会をする時だと書いてあります。

反省会をしよう

なぜGDP世界1位のお金持ちで、感染症専門のCDCを擁するアメリカで110万人以上のコロナ死者数を出したのか?これは今後のためにも振り返るべきです。

例えば、医療へのアクセスや貧困、教育水準などについても検討されました。

致死率が高い州の特徴

この論説としては、アメリカ内の格差社会、健康レベルの不均衡、教育水準の差、国民皆保険がないことが最大の被害を生み出した根底にあるとしてまとめています。

政治にも一言

さらに、論説では政治の問題点についても言及しています。

統率力のなさが初期対応遅れの原因

ま、著者がトランプ嫌いなんかもしれませんが(笑)

たしかに、トランプさんは中国を批判することに力を入れ、エビデンスのないクロロキンの内服を示唆したりと無茶苦茶ではありましたね。

政治的思想による議論も過熱

マスクなどの感染対策は、公衆衛生の議論を通り超え、政治的思想による議論に発展したことも社会的分裂を生み出したと考えられます。

ワクチンと政治

ワープスピード作戦で超短期間でのワクチン制作に成功しましたが、ワクチン忌避が問題となりました。

ワクチン誤情報による接種率低下

11月に行われた大統領選の混沌は長引き、最終決着は年をまたぎました。

12月にアメリカでワクチン接種が開始しましたが、ある政党の支持者側では接種率が低かったのです。

明言はされてませんが、共和党ですね。

低接種率は人種差別と関連

で、その接種率の低い層は人種差別にも相関がある・・・それ共和党ですね。

ミルクボーイみたいな掛け合いですが(笑)

いずれにせよ、共和党で接種率が低いのは事実で、それにより超過死亡が共和党支持者で多い*5のも事実です。それも接種開始前では差がなかったけど、接種開始後に差が開きました。

トランプ氏はブースターも接種済

そもそもはトランプ大統領(共和党)がワクチン開発を進めさせたんですが、大統領選で敗れ、おいしいところをバイデン大統領に持っていかれた。それで、支持者はワクチンに反発しているいわれています*6

オミクロン株でも未接種は致死率高し

一応、データとしては、オミクロン株であっても未接種では致死率が高いです。

ただし、10万人で5人としても致死率は0.005%と非常に小さくなっているのも事実です。

アメリカでは、州によって共和党支持、民主党支持がハッキリわかれている所が多いです。州ごとに教育格差やワクチン接種率の差は大きく、それにより死者数が大きく違うことは以前当ブログでも扱いました。

共和党支持者は超過死亡増加

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さいごに

論説の最後は次のように締めくくっています。

コロナ禍の失敗の根本を正せ

コロナ禍で大量な死者を出したアメリカはその根本の原因を正さなければ次のパンデミックでも同じ失敗をするだろうと。その原因としては、医療アクセスの不均衡や、有害な政治的分裂、公衆衛生への不信を挙げています。

ま、結論、日本はほんまにようやってきました。

気になる点は、日本は欧米と比べて既感染者が非常に少ないんです。まだ30-40%くらいですから、ハイブリッド免疫を持つ人が少ないわけです。また大きな波は来るでしょう。しかし、5類になって『見えなくなる』ので多くの人は気にせず生活できるでしょうね。

では、また(^^♪

ハイブリッド免疫

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感染後の後遺症は長期に及ぶか

新型コロナウイルス感染症が世界に広まって3年以上過ぎ、ワクチン接種の普及、オミクロン株の出現、そして世界的に既感染者が非常に多くなり、『大きな脅威は去った』というのが現在の空気です。

しかし、知れば知るほど、”かからない方がいいウイルス”であることがわかってきています。

今回は、SARS(2002-2003年)の長期後遺症に関する論文を見て学んでいきましょう。

SARSと新型コロナ

新型コロナウイルスの名称はSARS-CoV-2です。で、SARS-CoV-1は2002年〜中国で広がったSARSの原因ウイルスです。

新型コロナが発見されたときに、SARSのウイルスと非常によく似ていることから、このように名づけられました。

SARSとMERS

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SARSでは世界で8000人ほどの感染者を出し、800人以上が死亡しました。

実に致死率が10%以上の怖い病気ですが、当時の検査体制は今より大きく劣るので、実際はもっと感染者がいたはずです。

SARSとCOVID-19

SARSでは、致死率は高いですが広がりにくかったので、最終的に終息しました。これは、感染者が他人に移すのは症状が強く出て以降だったからです。

新型コロナは厄介

一方で、新型コロナでは、症状が出る前から他人に移すので、有症状者の隔離だけでは間に合わず、広がりやすい感染症となりました。特にオミクロン株以降は、感染力が強くなっていますが、反対に致死率は下がっています。

SARSから学ぶ

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SARSの後遺症

今回紹介する論文*1は、中国・天津海河医院*2という総合病院の内科医らがまとめた論文です。

ちなみにこの病院はSARSの対応のために作られた病院なんですが、その後、今は拡大し、総合病院として機能しています。

中国でのSARSの影響

SARSは、中国全体では5663人が感染し、372人が死亡しました。

生存者を調べていると、1年後でもひどい後遺症に悩む人たちがいたのです。

1年後も1/3がひどい後遺症

また、別の報告*3では、感染後7年での胸部CTでも異常陰影(GGOなど)を認めており、明らかに肺に器質的な変化を残していることがわかっています。

こういったことから、SARSでは非常に長期にわたり後遺症を残すと考えられており、論文の著者らはSARS感染し退院してから18年経った今の状況を調べてみました。

既感染者に多い症状

天津海河医院の医療従事者でSARS感染者が31名いました。

そのうち14名が今回の研究の対象となりました。残りの17名は高齢で定期受診ムリ!とか、コロナ禍で受診控えで来院しなかったので候補から外れました。

既感染者 vs 非感染者

そして、比較するためにSARS感染のない健康な14名の医療従事者がもう一つのグループを作りました。もちろん平均年齢なども両群そろえてあります。

この2つのグループで採血やら呼吸機能やらCTやら代謝やらいろいろと調べてみました~っていう研究です。

まず、症状を見てみましょう。

現在ある症状

右のcontrol群でも咳や痰がありますね。普通に生きていると風邪ひくこともあるし・・・でも14人中5人て多いよな。ま、大気汚染とかもあるし?(笑)

一方で、SARSに罹って退院後18年経過した人たちの方が咳・痰は少ないですが、これは上記の通りよくわかりません。有意差なし。

しかし、倦怠感・呼吸苦は既感染者にだけ明らかに多くみられてますね。

健康状態は悪い

SARS感染者群は、非感染群と比べて明らかに全身の状況が悪かったのです。

既感染者群では息切れがある

感染・退院後18年の既感染群では14人中10人(71.4%)が息切れを訴えています。

また、全身の健康状態調査に使われるSF36*4では、既感染群で有意に低く、QOLが低いこともわかりました。

既感染群では肺に異常が多い

CTでも既感染の群では18年経ったのに、肺の異常な影が明らかに対象群よりも多かったのです。しかし、呼吸機能検査では両群に大きな差はありませんでした。

骨にも異常が多い

さらに、退院後18年の群では、骨粗鬆症が圧倒的に多く、大腿骨頭壊死も多かったのです。これはたしかにQOL下がりますわな。

当然、股関節の動きなどを調べる検査でも既感染群は悪い結果を出しています。つまり歩行にも影響出ています。

時間とともに改善も

しかし、長い時間を経るにつれよくなっていったものもあるのです。

退院後12年のときと比較して、退院後18年では、先ほども出てきたSF36の点数が明らかかに改善しているのです。

活力やメンタルの改善見られる

呼吸機能やCTでの変化は見られませんが、活力やメンタル面では大きな改善がみられています。

それでも、非感染の対象群と比べるとどれも低かったです。

解釈

この研究での著者らの解釈を見てみましょう。

もう見てきた通り、SARS感染・退院後18年経った今でも、倦怠感や呼吸苦などの症状を呈しております。

感染による代謝・免疫の変化?

また、骨粗鬆症や大腿骨頭壊死も感染と関係がありそうです。調べてみると、感染による代謝や免疫に変化が起きていたので、それらが関わっているかもしれません。

(例えば、CD8+が優位となり、CD4+の発現の低下などが見られる)

さいごに

いかがでしたか?

新型コロナウイルスはSARSウイルスと非常によく似た構造であることが知られています。もちろん、まったく同じではないので、これと同じようなことが起こるかは不明ですが、ある程度の参考にはなると思います。

日本でもコロナ感染後の何かしらの後遺症を訴えるのは3-4人に1人*5と結構高い割合です。

持続感染が後遺症の原因?

後遺症の原因の仮説としては、体内からウイルスが完全に排出しきれず残存し続ける*6ことが考えられています。

新型コロナ感染により、糖尿病になるリスクが高まる*7ことや血栓症、脳卒中のリスクが高まる*8こともわかっています。

また、以前ご紹介した研究*9で、新型コロナウイルスに感染した人では、がん抑制遺伝子p53の発現が低下することが報告されています。

新型コロナ感染でがん化?

 

重症例や後遺症のある症例では半年後もp53の発現低下が続いていました。

これから先、世界中で、コロナ感染後の後遺症について5年⇒10年⇒15年と研究が続いていくことになりそうです。

かかりたくないウイルスであるのは間違いありませんが、残念ながらいずれほとんどの人はかかります。しかしワクチン接種済での感染では後遺症のリスクが下がる*10ことが示唆されています。(※若くて健康な人は2回接種で十分)

引き続き情報をupdateしていきましょう。

では、また(^^♪

 

若くて健康⇒2回接種

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解説『武漢の謎に新たな光』

当ブログでは過去に何度かコロナ起源に関する記事を書いております。

新型コロナは流出か

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やはり流出を疑う

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私は現時点では研究所流出を強く疑っております(後述)が、今回は最新の知見を入れてupdateしていきましょう。

当ブログの見解

まず、過去記事をまとめて、わかっている事実は・・・

2015年 オバマ政権で危険生物(細菌・ウイルス)のアメリカ本土での研究が3年間禁止*1*2となり、その年にできた武漢ウイルス研究所の新施設への外部委託をすることになりました。

アメリカが資金提供

このときにアメリカから370万ドル(うちコロナウイルス関連は60万ドル)の資金提供*3をしています。

この施設内で、過去のMERSウイルス(コロナウイルスの1種)を用いて、"コウモリ女"こと石 正麗博士らがアメリカの大学研究機関とともに機能獲得試験を行ったことは2015年の論文で報告*4されています。

武漢ウイルス研究所で機能獲得試験

機能獲得試験とは、ウイルスがどういう変異をすればさらに強毒化するか、とか人に感染しやすくなるかなどを行うことで、それに対抗する薬やワクチンの開発に重要なデータを提供します。(ただ、万一流出したら・・・( ゚Д゚))

で、このときの研究費も↓

アメリカからの資金提供

アメリカのNIHから資金提供を受けていることも明記されています。ま、国内で禁止だから中国にお金を払ってお願いしましたって流れです。

問題は、このウイルス研究所の管理がユルユルで流出の危険性があると2017年から指摘されていた*5ことです。

ウイルスの研究は、危険度や治療法の有無などによって、扱える施設のレベルが違います。BSL-1からBSL-4までに分けられています。

バイオセーフティーレベル

コロナウイルスはBSL-3で行うことが多く、武漢研究所ではBSL-2施設で行うこともあった*6こともわかっています。

つまり、「万一広がっても風邪のウイルス」と甘く考えていたことがわかります。

当ブログの見解

以上から、一番あり得る話としては、上図の流れだと考えています。

もしくは、研究所内の人が感染し、外部に広がった。ま、いずれにせよ研究所始まりだと思っています。

3つの仮説

さて、先日のワシントンポストの記事『武漢の謎に新たな光』*7から最新の知見を見てみましょう。

2つの仮説

まず、コロナ起源には2つの主要な仮説があり、1つはコウモリから中間宿主経由でヒトへ感染した自然発生説です。最近、武漢水産市場で売られていたタヌキが中間宿主かという研究*8が出ましたね。

そしてもう一つが私の意見と同じ研究室から何らかの形での流出説です。

研究者が偶発的に感染?

そして、これらの2つの中間として、研究者がコウモリに噛まれるなどで偶発的に感染し、それが広がったというのもあります。ま、結局は研究所始まりです。

管理体制まだまだ

近年、中国は遺伝子操作やワクチン開発などの最先端科学技術への投資に大きな意欲を示しており、たくさんの研究所を作ったりしています。

生命工学分野の拡大に躍起

西洋に追いつけ、追い越せ。特にライバルはアメリカです。

2015年に武漢ウイルス研究所でBSL-4施設が作られたのもこの一環です。危険なウイルス研究はBSL-4でやる必要があります。

安全管理は追いついていない

しかし、その一方で、安全管理などは追いついていません

先ほど見た通り、武漢ウイルス研究所の漏洩リスクについても過去から指摘がありますね。

違法な取引

問題は安全対策がユルいだけではありません。

「自分には関係ない」「被害は他人に及ぶだけ」という無責任なモラルです。

モラルの問題が大きい

ウイルス実験などに使用した動物をコッソリ市場に売りさばいたり、ウイルスや細菌が混じっている汚染水を一般の下水に流したりと、いったことが報告されています。

そして、何よりも共産党独裁で、目標が設定されれば、嘘をついてでも目標を達成する社会です。

隠ぺい体質の中国

また、不都合な事件や事故は決して世間には知られないように隠ぺいされます。

40人の死者を出した高速鉄道の脱線衝突事故(2011)*9でも、車両はすぐに埋めましたね、証拠隠滅。コロナの時も、現地調査を拒み続けて、初期のウイルス検体などはすべて破棄、証拠隠滅。

ウソで塗り固める社会

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 武漢ウイルス研究所で

さて、武漢ウイルス研究所でもこのような体質が問題を引き起こしたのでしょうか?

ヒトに感染しうるコロナウイルスを調査

武漢ウイルス研究所では、コウモリやネズミの肺をヒトの肺に似せて、どのコロナウイルスがヒトに感染しうるかという実験をしていました。これはアメリカ上院の報告*10に書かれています。

パンデミック前に緊急調達

この報告書によれば、2019年11月、コロナ感染者の初報告の1カ月前に、武漢ウイルス研究所は排ガスの殺菌・消毒を行うインシネレーターを『緊急調達依頼』しています。

仮にどこかの施設のイシンネレーターが故障したのであれば、その施設での実験を中止し、修理or付け替えすればいいのに、『緊急調達依頼』するのはなぜでしょう?

実は施設設備が整っていないまま、または不適切な施設でコロナウイルスを扱っており、それが流出し、空気中へまき散らしてしまうことに焦ったからと考えるのが自然ですね。

さいごに

いかがでしたか?

今さら多くの新しい情報は見つかりませんが、最新の報告を元に知識をアップデートしました。

ちなみに米上院で、コロナ起源の報告を出している議員は共和党の議員です。

なので、政治観的には『中国嫌い』というのが根底にあるので、多少引き算してみる必要がありますが・・・

新たに分かったことなどをも見ていきましたが、やはり武漢ウイルス研究所の関連を疑ってしまいます。

みなさんはいかがお考えでしょうか?

 

つづく(笑)

 

迫りくる『2024年問題』

ここ最近よく耳にする『2024年問題』という、何か危機を感じさせるワード。

今回はこれついてさらっと学んで行きましょう。

2024年問題とは

よく耳にする2024年問題の核は『時間外労働』です。

”働き方改革”の一環で労働基準法が改正され、2019年以降、時間外労働の時間に上限が設けられるようになりました。

ところが、業種によっては、どうしても多くの時間外労働が避けられないものもあるということも議論され、下記4つの業務に関しては5年間の猶予を与える*1こととなりました。

時間外労働上限の猶予業務

そして、その5年間の猶予が終わるのが2024年ということになります。

つまり、2024年問題は、これらの職種の時間外労働の上限がバッチリ適用されるようになると、人手不足などが急に生じ、社会に影響が出るだろうということです。

特にトラックドライバーの労働時間の問題が多く語られます。

時間外労働の上限

それでは、実際に時間外労働の上限について見ていきましょう。

労働時間

まず、労働時間については1日8時間以内、週40時間以内になるように労働基準法で決まっております。

で、これ以外の労働時間は『時間外労働』となります。

2019年4月以降は、この時間外労働の上限が月に45時間年に360時間以内にしなければいけないと法律で決まったわけです。

時間外労働の上限について

一時的に激務なときは6か月を限度に、月100時間まで、年間720時間以内であれば許容するとなっています。

ま、ブラックで有名な大病院の医師界隈ではそれでも難しいでしょう。

実際、早朝からの回診は『自主的早朝業務』なので、時間外としないように!などというワケのわからんルールもありました(笑)

2024年4月以降

来年4月以降、いきなり時間外労働の上限をつけちゃうのでしょうか?

いえいえ、日本という国をナメてはいけません。団体が文句を言えば、特例を作るのです。(笑)

2024年以降もブラック

結局医師、運送業などでは労働時間を削ると回らないので、2024年以降も特例を設けました(笑)

この特別な協定は、通称”サブロク協定”と言います。

労働基準法の第36条に則り、規定以上の時間外労働をさせる場合は、働き手やその労働組合などと書面で協定を結んで労働基準監督署に届け出たら特例となります。

ドライバー不足

物流のドライバーの問題がよく取り沙汰されますね。

国土交通省の資料*2によれば、ドライバーは一般業種に比べて、労働時間は1~2割長いのに、賃金は1~3割低いです。

ドライバーは厳しい環境

ドライバーは輸送距離に応じて運行手当てが支払われるので、労働時間に制限がかかると、結果として輸送距離が減り、減収になります。

こうなると離職する人も増えるでしょう。

さらに、一人の稼働時間が減ると、今の輸送量を維持するためにはドライバーを増やすしかありません。

ただでさえなり手不足の業種です、集まるでしょうか?

労働時間減少による悪循環

となると、注文した荷物が『その日に届く』『翌日届く』っていうサービスも減るでしょうね。

送料の問題

ドライバーを増やすとなると、会社としても支出が増えるわけです。

となると、運送業で収入を増やすには・・・送料値上げにつながりますね。実際、この4月から送料の値上げ*3が始まっています。

運賃値上げ

となるとですよ、結局はネットで売っている商品すべて値上げになるということです。

もちろん、リアル店舗で買うものだって輸送コストが上がれば、値上げに・・・

はい、この2024年問題は、最終的には物流以外の私たちの日常にも影響を与えることになるのです。

輸送の効率化を

では、この2024年問題にどのように対応するのでしょうか?

ドライバーの労働時間を減らす中で、ムダも減らして効率化が重要になってきます。

配達の効率化の例

例えば、宅配したのに不在の家が多いと非常に非効率ですね。

そこで、『時間指定』や『コンビニ受取』などが近年どんどん広がっています。

再配達有料化なんて話も5年ほど前からチラホラ出ています。

物流DXの時代へ

他にも物流DXといって、運送業にITを積極的に入れていこうということも動いています。積み荷を効率的に積み分けたり、荷物の管理を機械化したり、今手の空いているフリーランスのドライバーをすぐに見つけたり・・・

実際、ドライバーの労働が長い理由に荷物の積み下ろしの時間などがかなり影響しています。

モーダルシフト

他にも、モーダルシフト*4といって、長距離トラックをなるべく貨物列車や大型船舶など大量輸送できるものに振り替えることで、ドライバー不足を補うとともにCO2排出量低下もできます。

一方で、トラック輸送は小回りが利きます。トータルの到着までの輸送時間はモーダルシフトで延びることがあります。

さいごに

いかがでしたか?

2024年問題は、5年間延期されていた、医師、運転手らの『時間外労働』の上限が開始するタイムリミットでした。

医師に関しては、特例などであまり大きく変わらないでしょう。(笑)

それよりも、一般の人にも影響が大きいのは運送に関わる分野です。

輸送距離に応じた手当を受けるため、労働時間が減ると、輸送距離も減るため、結局収入も減ることになります。ただでさえ人手不足なのに離職が増える可能性もあります。

また、ドライバーの人員を増やすとなると、代わりに送料の値上げが行われ、私たちの買う商品の値段も上がることになります。

日本の『安くて、便利』は、一部の人の相当な負担で何とか維持されてきました。それを是正するとなれば、今後は日本の物価も上がらざるを得ないということですね。 

 

では、また(^^♪

『ダイエットしても痩せない』なぜ?

多くの現代人が関心のあるダイエット

しかし、長年ダイエットに取り組んでいるにもかかわらず、一向に結果がついてこないという人はたくさん聞きますね~笑

今回は、ダイエットしても痩せない人について学んでみましょう。

ダイエット

言語マニアの癖が・・・

すいませんが、ここでも語ります(笑)

dietという言葉の起源はギリシャ語のδίαιτα(生き方、食事、日々の勤め)だとされ*1、その後ラテン語で dieta ⇒ 英語 diet となっています。

diet の語源

で、英語でもdietの意味はそのまま『食事』ですが、そこから"食事療法"という意味になりました。つまり、英語の diet というものは食事による減量です。

日本語のように運動での減量の意味はないです。英語圏では diet and exercise といった表現がよくみられます。

もう一つの diet

もう一つ、英字新聞などを読む人はご存じかと思いますが、the Diet と表記すると『国会』という意味になります。 

これも δίαιτα ⇒ dieta ⇒ diet となっており、『日々の勤め』の意味で、みんなで集まって色々決める議会という意味になりました。

呼び方が異なる『国会』

面白いのが、日本の国会は the Diet としますが、アメリカとイギリスの国会は呼び方が違うのでこれも注意ですね。

ダイエットしても・・・

さて、今回はカナダからの論文*2をもとに解説していきます。

めちゃくちゃ当たり前のことですが、減量の基本は摂取カロリーの制限です。ダイエットしてる”つもり”の人はここができていないことが多いといいます。

基本は摂取カロリーの制限

しかしながら、摂取カロリーの制限を厳密にしている人においても、なかなか痩せなかったり、個人差があることも現実的にあります。

人間の体というのは、『飢え』に耐えれるようにできており*3、ずっとカロリー制限をしていると、痩せにくくなります。

骨格筋に注目してみる

摂取カロリーともう一つ重要なのが、消費カロリーですね。一番エネルギーを使うのは私たちの筋肉です。そこで、今回の研究では、骨格筋に注目し、これが『痩せにくい体』に影響しているのではないか?と調べたものです。

痩せにくい人

オタワ病院の食事療法プログラムに参加した5000人以上の女性のデータを使いました。

1日900kcalまでというの食事制限を6週間行い、一番体重がよく落ちた10人と、落ちが一番悪い10人を抽出しました。

ダイエット延長戦に突入

合わせて20人が”延長戦”プログラムへ突入します。

週3日の運動療法です。有酸素運動(30分の歩行)+無酸素運動(筋トレ)を行いながら、食事に関しては特に制限なくいつも通り食べてもらいました。

すると、面白い事実がわかりました。

食事療法抵抗群では・・・

なんと、食事療法であまり体重減少しなかった”抵抗群”では、この延長戦の運動療法で体脂肪の減少、筋肉量増加に伴う代謝の上昇が認められました。

一方で、食事療法ですっと痩せた人の群では、運動療法後のこの変化は見られなかったのです。

これは驚きですね。

体重は落ちたのか

さて、ダイエットの指標といえば、『体重』ですよね。

さきほどの延長戦で、体重はどうなったのでしょうか。

両群で体重は落ちていない

実は、両群ともに体重減少は見られなかったのです。

しかし、食事療法抵抗群では先ほども書きましたが、体脂肪が減り、腹囲が減っていました。

筋肉はギュッと詰まっており、脂肪はブヨブヨとなってますね?そうです、同じ体積では筋肉は脂肪より1.2倍重いです。

筋肉と脂肪の関係

逆に言うと、重さが同じならば、筋肉の方が17%程体積が小さくなるわけです。

運動により、筋肉が増えて脂肪が減ったことで、体重は変わってなくても体積が減ったので引き締まったということです。

わかったこと

この研究からわかったことについて、筆者は次のようにまとめています。

食事療法で痩せるのは・・・

食事療法でスッと痩せられる女性は、中心性肥満、つまり内臓脂肪が多い人で、ほっとけばメタボまっしぐらの人たちでした。

一方で、食事療法で効果の薄かった人は、運動療法を行うことで、効果を得られやすいことがわかりました。

食事療法抵抗群は運動しろ

つまり、「カロリー制限してるのに痩せない」という女性は、運動療法を試すべきだということです。

一般的には体重を落とすには食事制限と運動療法の組み合わせでやります。その中でも、自身がどちらで痩せやすいタイプかを知って、食事・運動療法の比重を変えることが望ましいということでした。

さいごに

いかがでしたか?

ま、結局楽して痩せるなんてことは無理なのは当たり前ですと。ただ、人によって食事療法だけでは痩せにくい体質(特にメタボ体系)があり、そういった人は運動療法をメインにした方が痩せやすいんじゃない?っていう研究でした。

今回の研究は『女性』のみを対象としていますので男性については当てはまるかはわかりませんが、ま、参考にはなりますね。

では、また(^^♪

*1:https://www.merriam-webster.com/dictionary/diet

*2:https://www.thelancet.com/journals/ebiom/article/PIIS2352-3964(22)00373-5/fulltext

*3:Leibel, Rudolph L., Michael Rosenbaum, and Jules Hirsch. "Changes in energy expenditure resulting from altered body weight." New England Journal of Medicine 332.10 (1995): 621-628.

若年性大腸癌が急増( ゚Д゚)

先日、アメリカで若年性の大腸癌が急増しているというのが様々なメディアでニュース*1となっていました。

それでは、詳しく見ていきましょう。

腹痛と血便

まず、記事は一人の女性の経験を書いていました。

2020年8月、35歳だった女性は、頻回に出てくる腹痛でトイレに駆け込むことが増えていました。またたまに便に血がついていたのです。

腹痛と血便

症状がひどいとき、病院に受診したところ、かかりつけ医は「多分胃潰瘍だろう」と言いました。

通常、血便があれば『大腸癌』の有無を考えますが、35歳という若年のため可能性は低かったので医師はこう言ったのです。

食事内容の見直し

彼女自身もそれほど大きく捉えておらず、食べ物が悪いと考えました。そこで、肉を減らし、野菜や果物をたくさん摂るようにしました。体重はみるみる落ちていきました。

消化器科へ紹介

受診時の検査結果がそろうと、彼女のかかりつけ医は『消化器科へ受診して』と言いました。血液中の鉄の数値が異常に低かったのだと言います。

消化器科で検査を受け、その後の医師の言葉に落胆しました。

「残念ながら癌です」

診断はstage Ⅲ直腸癌でした。若く健康で、娘のいる彼女は頭が真っ白になりました。彼女の体重が減ったのは食事のおかげではなく、癌によるものでした。

実は、1990年代以降、アメリカでは55才未満のいわゆる”若年性大腸癌”が急増しているのです。

しかし、ハッキリとした原因はわかっていないのです。

辛かった抗がん剤

彼女の闘病生活は、肉体的・精神的にキツいものでした。

辛かった抗がん剤

副作用は強く、体が弱っていくのを感じ何度も泣きました。しかし、4歳の娘を思うと、「強くならなきゃ」その一心で耐えきり、いまは寛解し、再発なく経過しています。

家族の献身的なサポートを受けて、ここまで来た彼女は若い人たちにこう呼びかけています。

異常を感じたら病院へ

まずは若くても癌になるという事実をしっかり知ること、そして、明らかに普段とは違って体調がおかしかったり、血便、体重減少など異常があれば受診すること。

若者で急増

先日、アメリカがん学会が出した報告*2によると、大腸がん患者のうち55才未満の割合は1995年で11%でしたが、2019年では20%に増えています。

若者で急増している

若い世代の割合が増えており、特に30代~40代が顕著だというのです。

大腸がんの原因として既に知られていることは、大腸がんの家族歴や特定の遺伝子の変異、アルコール多飲、喫煙、肥満などです。

若年性大腸がんの原因?

若年性大腸がんのリスクを上げるとされるものも同様に、太りすぎだったり、赤身の肉加工肉の摂りすぎが言われています。

牛肉・豚肉などの食べすぎが癌に関係することはほぼ確実視されています。

加工食品は大腸癌リスク

www.multilingual-doctor.com

 

太っていない

しかし、近年アメリカで若年性大腸がんと診断された人たちの多くは、いたって健康で、太っていない人が多かったのです。

若年性大腸がん患者は太っていない

肥満が大腸癌リスクを上げるのは間違いないが、なぜか急増する若年性大腸がんでは太っていない人が多い。

しかし、ある事実もわかりました。

肥満児の増加と相関か?

過去30年で、肥満児の割合は2倍に増えており、20歳未満の20%が肥満です。

子供の時にかなりのデブだった場合は、細胞内のDNAの損傷が起こりやすいのだそうです。

もちろん、これも若年性大腸がん増加の一説にすぎません。

遺伝子は関与なし?

若くして癌になる場合、例えば乳がんなどでは、BRCAという遺伝子の変異の関係も知られています。若年性大腸癌でも特定の遺伝子の変異などついては調べられていますが、いまのところめぼしいものはないようです。

遺伝子変異は関係ない?

もう一つ考える必要があるのは、医学・科学技術の発展です。

つまり、30年前と比べ、CTが気軽に撮れたり、検査の精度が上がったり、それにより昔よりもうんと発見数が増えているでは?というものです。

検査も家庭でできる便潜血のキットや下部内視鏡で早期発見など、これらがある程度影響を及ぼしていることは十分あり得るのです。

さいごに

いかがでしたか?

アメリカでここ30年で急増している若年性大腸がん。

はっきりした原因はわかっていませんが、複数の因子から起きていると考えられています。赤身の肉加工肉、加工食品の大量摂取、肥満児の増加、医療科学技術の発達による発見数の増加・・・など

実は、日本国内でも赤身の肉の摂取量と大腸がんの関係を調べたものがあります。国立がん研究センターの研究*3によれば、やはり肉や加工肉の摂取量が非常に多いと大腸がんのリスクが上がります

日本人と肉と大腸がん

一方で、毎日肉ばっかり大量に食べない日本人のほとんどは、大腸がん発生への影響はあっても軽微だとも言っています。

こいったこともあり、最初は、欧米人だけで見られる傾向と思われていましたが、日本人を含むアジア人でも同じように若年性大腸癌が増えている*4ことがわかっています。

とりあえず、現状で言えることは、肉を食べすぎず、ベーコンやウインナーやなどの加工肉も摂りすぎないようにしましょう。

できることは、早期発見です。症状があれば検査を受けましょう。

では、また(^^♪

不払いは『2倍割増請求』します!

新年度が始まりまして、まもなく1週間になります。

この4月からの変化といえば、自転車のヘルメット着用の努力義務がまず思い浮かびます。そして、もう一つ密かに変わったのがNHKの受信料のルールです。

契約せず支払いをしていなければ、2倍割増の受信料が請求されるという・・・

今回はこの問題について背景を学んでいきましょう♪

NHKは公共放送

まず、NHKは国営放送ではなく、公共放送です。

国が”直接”運営しているものが、国営放送であり、アメリカのVOAや中国のCCTV(中国中央電視台)などがそうです。

NHKは公共放送

公共放送は、国営ではないので、国の予算とともに、受信料を徴収して”公的な機関”が運営をしています。

イギリスのBBCや韓国のKBSは公共放送になります。

受信料のはじまり

戦前は、日本放送協会はラジオの”聴取料”として、月1円(今で2000円?)を徴収しており、国が管理していました。

戦後、GHQの指導により民間の放送事業者の参入が進みました。

このときに、日本放送協会も政府からの圧力を受けないために受信料を取って運営することを存続させました。

政府と距離を置くための受信料

日本でテレビ放送が始まったのは1953年からです。その後、一般家庭でも白黒テレビが一気に普及していきます。

すると、日本放送協会は1967年にラジオの受信料を廃止し、TVの受信料のみを取ることにしました。

受信料を取る理由

さて、他の民間の放送事業者は、受信料はありません。

CMを流し、企業からの広告費で運営しています。しかし、これはこれで問題で、スポンサーの顔色を伺うことにつながります。

受信料を取る理由

公共放送を自負するNHKは、政府から距離を置くために、そして広告主に忖度しないように、”独立性”を重視し受信料を取っているとのことです。

もう一つ重要な点は、「視聴率に左右されない」点です。スポンサーがあれば視聴率は非常に大事ですが、それを気にする必要がないので、教育番組や育児・介護の番組などが作れるのも受信料徴収によるものです。

受信料の支払いについては放送法で定められています。

放送法 第64条

とりあえずTVを持っていたらNHKと契約を結び受信料を払わなければならないのです。例外としては、教育施設や、生活保護世帯、重度障害者かつ低所得世帯などです。

また受信料の月額については放送法第70条によると国会の収支予算で決められることとなっています。

ただし、払わなくても罰則がない*1ので払っていない人たちもいます。

地域格差

ところで、受信料はどのくらいの人が払っているのでしょうか?

2021年のデータ*2では、秋田県では約98%、岩手県で94.6%、福井県で88.5%と地方では高い傾向にあります。

地域格差について

逆に、大都市や両端の県では非常に低くなっており、東京都では67.3%、最下位の沖縄で49.5%でした。

沖縄は本土復帰後に初めて受信料徴収が始まったから一番低いのだということらしいですが・・・本当にそれだけですかね?(-_-;;)

ま、いずれにせよ全国平均は75~80%くらいのようです。

となると、私を含め、きちんと支払っている人たちは不満を持つのは当たり前ですよね?

対立を招きかねない

逆に払っていない側からすれば「なんで払わないといけないの」となります。

この不公平感が、受信料支払いの問題を大きくしています。

スクランブル放送

現在のやり方では、まじめに払った人が損をし、無視した人は得をするという最悪のパターンです。

これの対策としてはスクランブル放送というものが議論がされています。

つまり、払っていない人の家ではNHKを映らなくするってことです。見ないのなら解約すればいいですしね。

てか、そもそもCS放送とか、huluとかでもそうですけど見たい人がお金を払って楽しむのがあるべき姿ですよね。

スクランブル放送

しかし、NHK側はこれは『公共放送』という理念に合わないと否定的な立場を示しています。

ん~、『理念』や『性格』『概念』という抽象的な”魔法の言葉”を使ってごまかしている感じですか?

いずれにしても今のところ実現性は低そうな。

受信料支払い義務化

さて、スクランブル放送なくして、不公平感をなくすにはいっそ『義務化』しかない!というのが次に出てくる考えです。

例えば納税は国民の”義務”で、脱税したら罰もありますね。それと同じように『不公平感』をなくそうというわけです。

そして、2022年 改正放送法・電波法が可決されました。

2022 改正放送法・電波法

実はNHK受信料収入は十分にあって、毎年繰越金がかなりあります*3。そのため、この改正法で、NHK受信料を値下げすることが決まりました。今年の秋から1割下がります

それと引き換えに、未払い者に対して割増で受信料を請求できるようになりました。これがこの4月からスタートしました。

2倍の割増料金請求

ま、だからといって、未払い家庭が一律に『2倍割増』請求が来るわけではないでしょう。実際はそんな変わらないような・・・

この文言を変えておいて、『不公平』をなくそうとしてますよアピールなだけ?かもしれません。ま、知らんけど(笑)

海外では?

最初に公共放送は英国のBBCや韓国のKBSも同じだと言いました。その2国はどうしているのでしょうか?

まずBBCは、受信料と広告料で運営しています。で、受信料の徴収率は98%ほどあるそうです。

BBCの受信料

TVを買うときに「許可証」を買う必要があり、それを毎年更新することで受信料を支払うシステムになっています。

またBBCには徴収しに行く強力な権限も与えられています。

前のボリス・ジョンソン首相がこの受信料廃止をほのめかしており、現在『凍結』状態にある*4ようです。

KBSの受信料は安い

韓国のKBSも受信料と広告費で成り立っていますが、受信料の徴収率は100%です。

理由は電気代に上乗せして徴収しているため取りそびれないそうです。 

ただ、受信料は月額2500ウォンなので、250円くらいですね。安い。

さいごに

いかがでしたか?

NHKの受信料について学びなおしてみました。

政府から距離を取り、広告主に忖度しないための受信料は、全国的には徴収率75~80%くらいです。これでも十分な額があるため、2022年の改正放送法・電波法で受信料の値下げが決まりました。

同時に、『不公平』をなくすために、未払い世帯には『2倍割増徴収』が可能となるように法律が変わりました。

 

では、また(^^♪

不老不死の世界へ・・・

30年前の50歳と、今の50歳では見た目が全然違う、なんて話はよく耳にします。

もちろん、ファッションや化粧品などそういったものも関係あるかもしれません。

誰もが望む「不老不死」、今回はここをテーマに学んでいきます。

老化

生物は時間とともに老化していき、最後に『死』を迎えます。

もちろん顔を見て『老けた』という見た目でわかる老化もあれば、体の機能が低下することも老化であるわけです。つまり骨粗鬆症や認知症も『老化』の1つです。

老化の原因は完全には解明されていませんが、仮説はたくさんあります。

遺伝子の影響?

1つ目の説として特定の遺伝子の関与があるのではないか?というものがあります。

私たちの細胞は、『細胞分裂』を繰り返して、どんどん入れ替わっています。これを新陳代謝といいます。

で、その細胞の分裂できる回数には上限(ヘイフリック限界)があり、生まれた時からその回数がプログラミングされているというのが有力視されています。

ヘイフリック限界について

実際、染色体の末端にあるテロメアと呼ばれるものは、細胞分裂の度に短くなっていきますので、”有限”ということは納得がいきます。

その説では、理論上、ヒトの寿命の限界は120歳*1となるようです。

では、対処法はあるのでしょうか?

テロメラーゼとは

テロメアが細胞分裂の度に短くなることを止めれれば、老化は避けられる?かもしれません。その作用をするものが、テロメラーゼと呼ばれる酵素です。

がん細胞では、このテロメラーゼが非常に活性化されており、”不老不死”状態になっている*2のです。

今後、科学が進み、テロメラーゼが応用できる時が来るのかもしれません。

遺伝子修復エラー

早老症とは、若くからどんどん老化していく病気です。

たとえば、日本人に多いウェルナー症候群では、DNAヘリカーゼと呼ばれるDNA修復遺伝子に異常がある*3ことがわかっています。

ウェルナー症候群とは

紫外線などの放射線や、化学物質により私たちの細胞は1日に何十万回も損傷しています。その都度、遺伝子の修復を行うわけです。

ところが、なにがしかの要因でこの修復が追い付かなくなると、細胞は不可逆的な休眠(老化)を試みます。それでもどうしょうもなくなって、ほかの細胞にも影響しそうになると自殺(アポトーシス)します。

遺伝子の修復

それでも間に合わなかった場合は、その細胞は癌化してしまいます。

逆の発想としては、DNA修復遺伝子を活性化できるようになれば、不老も可能になるのではないかというものです。

活性酸素

私たちが呼吸で取り込んだ酸素は細胞内のミトコンドリアでエネルギー産生に使われます。その際に、副産物としてできるのが活性酸素です。

活性酸素は高い反応性を持ち、体内での細菌・ウイルスの除去に活躍します。

活性酸素とは

外部からの因子としては、紫外線や放射線、喫煙なども活性酸素を産生します。癌の放射線治療は、直接癌細胞のDNAを傷つけるだけでなく、活性酸素を増やし、攻撃を手伝ってもらう意味もあるのです。

ところが、この活性酸素の産生量が多いと、健常な細胞にまで傷害を与え、老化につながる*4だろうといわれています。

活性酸素と老化

あるいは、活性化酸素がテロメアの短縮に関連し、老化につながるという説*5もあります。

この考えで行くと、抗酸化作用のあるビタミンCビタミンEをたくさん摂ったり、細胞内にできた活性化酸素を分解する酵素(SOD)が応用できるようになれば、老化を遅めれる”はず”ですね。

抗酸化物質

実際、ヒトはもともとこのSODの活性が高く、活性化酸素をうまく処理できているので他の動物より長生きだと考えられています*6

カロリー制限

肉やチーズなどの摂取カロリーの高いものは酸性食品であることが多いです。

つまりカロリー過多では、活性酸素がたくさん作られてしまい、細胞に傷害を与えてしまうのです。

そこから発展した考えが、低カロリーを維持すれば長生きできる*7というものです。

カロリー制限で老化を遅らせる

先日、nature aging に掲載された論文*8でも、25%の摂取カロリーを制限した群では老化速度が2~3%低下しました。

これは、早期死亡リスクを10~15%減らすことに相当するそうです。

これは誰もがすぐにできる手段ではありますが、なかなか難しいのも実際です。

老化タンパク

2012年、大阪大学らの研究で、老化を促進する分子が突き止められました*9

老化とともに血中のC1qと呼ばれる補体の濃度が上昇します。これが、老化に関わっているということが分かったのです。

補体C1qが老化に関連?

マウスの実験では、C1qの生産を抑えると心不全や動脈硬化、糖尿病などが改善することもわかりました。

補体というのは、抗体を用いた免疫にかかわる分子です。

どうやら加齢に伴い免疫バランスが崩れ慢性炎症が起きて老化しているのでは?というものです。

免疫のバランスをとるアプローチを

先ほどの論文の著者は日本語雑誌*10でも、老化とC1qについて書いており、慢性炎症を無理やり抑えるのではなく、これにより崩れた免疫バランスを整えるのが対応として重要ではないかと述べています。

さいごに

いかがでしたか?

老化については、様々な仮説や原因物質とされるものがわかってきています。

しかしながら、現段階ですぐに応用できるものはあまりなく、唯一可能なことは、カロリー摂取を減らすことと抗酸化作用のあるビタミンC摂取くらいですかね。

 

では、また(^^♪

*1:田沼靖一 『アポトーシスとは何か』 p205-213、1998年6月25日、講談社現代新書

*2:https://www.jstage.jst.go.jp/article/haigan1960/37/2/37_2_189/_article/-char/ja/

*3:Ellis, Nathan A『Mutation-causing mutations』Nature 381 110-11 1996

*4:及川忠、森吉臣『図解アンチエイジング医療のすべてがわかる本』2010年、15頁

*5:https://cir.nii.ac.jp/crid/1050282677917480320

*6:伊藤明夫 『細胞のはたらきがかわる本』株式会社 岩波書店〈岩波ジュニア新書〉、2007年。p.80

*7:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1413655/

*8:https://www.nature.com/articles/s43587-022-00357-y

*9:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0092867412005314

*10:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsth/26/3/26_297/_pdf/-char/ja