レクサスといえば「高級車」として超有名なわけですが、ここ最近、街中ではいたるところで見かけます。
日本にこんなたくさん金持ちはいないのに、なぜ?
今回はレクサスの”大衆車化”について学んでいきましょう♪
レクサス誕生
ま、何事も基本から。
時は1980年代のアメリカ、リンカーンやキャデラックといった”ゴツい”高級車に乗ることがアメリカで成功者の証でした。
そんな中、当時日本経済はイケイケで、トヨタもアメリカでの躍進を狙っていました。
威厳あるゴツい車が人気のアメリカでどう戦うか、トヨタは現地調査を行いました。
すると、将来の購入者になる若者の間ではそのアメ車のゴツさはあまり人気がなかったのです。
そこでトヨタが考えたのは、ドイツ高級車並のクオリティーと安全性をベースに、日本車の信頼性+経済性、さらには日本人らしい”アフターサービス”を盛り込んだプレミアムカーを作ることにしました。
日本車=「壊れない大衆車」という定評があった中、1989年トヨタはレクサスというブランド名で初代LSを発売*1し、そのコンセプトは大ウケし、無事、北米高級車市場への参入に成功しました。
ほぼほぼ同じ車を日本ではトヨタでセルシオという名で販売していました。
日本へ逆輸入
北米で成功を収めたレクサスは欧州では苦戦を強いられていました。
それもそのはず、アメリカで勝つための戦略として、ドイツ高級車を意識して作ったので、欧州ではドイツ高級車と差別化がうまくできなかったのです。
一方、その頃の日本では、世間の認識は【高級車=輸入車】でした。
平成不況が終わり、イザナミ景気という好景気に移りゆく頃、レクサスは2003年に日本でも国産高級車として展開することに決めました。
これは何も日本だけをターゲットにしているわけではありません。
これから成長してくるアジアの国々での将来の販売も視野に入れていました。
そしてじわじわと日本国内でもレクサスは受け入れられていき、現在は国産高級車 の定番となりました。
リセールバリュー
人によっては車を買えば、10年以上乗り潰す人がいたり、5−6年で売って乗り換える人もいます。
ここでリセールバリューという考え方が重要となってきます。
リセールバリューとは、何年か乗った後の下取り価格が新車購入金額の何%に当たるかを表します。
3年で3万km走った車では、新車購入時の40~60%程度が目安となります。
人気な車では、中古でも欲しい人が多いのでリセールバリューが高くなります。
話は戻って、そもそも高級車に乗る人というのは、金持ちが多く、燃費なんて気にせず、ステータスとしてその車に乗りたい人たちです。
そんな車は、もともと高いので中古車で半額でも庶民の手には届きにくく、さらに燃費が悪いと一般的には購入希望者は少ないので、リセールバリューは低くなります。
レクサスが2003年に日本に逆輸入された後、しばらくは富裕層のみが乗っており、リセールバリューは当然低かったのです。
ところが、レクサスの人気が次第に高まり、海外でも需要が高まってくると、中古車の需要も高まり、リセールバリューが上がったのです。
購入層の拡大
レクサス人気上昇とともにリセールバリューが高くなると、「3年だけ乗って売ろう」という人たちも、売却すればそこそこの値がつくので、富裕層以外のいわゆる“小金持ち”も買うようになりました。
特に、近年はSUV人気が高く、レクサスでもRXやNXなどのSUVが売れていきました。
例えば、650万円で買った車が、3年後結婚を期に売却となって、500万円で売れた(残価率77%)としたら、なんとたった150万円で3年間レクサスに乗れたことになるのです。
その間に色んな女の子を乗せ、その中で伴侶を見つけたのならば、pricelessですな(笑)
レクサスとしても、高級ブランドを維持しながら、購入者層が増えるのはいいことです。さらに中古で海外でも売れます。
残価設定ローン
車を買うときに必ず勧められるのがこの残価設定ローンですね。
『月額6万円でレクサス新車に乗れる』とか言われると小金持ちでなくても、手を出せます。
いまや新車を買う人の7割が残価設定ローンで買う*2そうです。
残価設定ローンでは、数年後に車を返却するという前提で、その時の下取り額を総額から差し引いた額をローンで支払います。
つまり、リセールバリューの高い人気な車であれば、数年後の価格も高いので、お得に乗れるということです。
分割支払いでは精神面での負担が小さくなり、契約のハードルが一気に下がります。
かくして、人気でリセールバリューが高いレクサスは、残価設定ローンを組むことで、小金持ちでなくても乗れる、”大衆車化”が起きたのです。
ところで、売る側からすれば、残価設定ローンはどうなのでしょうか?
儲かるから促進
ま、答えは考えればわかりますが、儲かるから販売側も押してくるのです。
売る側は、高い車を売りたいです。残価設定ローンで購入者層が広がり、さらに人気な高級車などを「お得に乗れる」と案内します。
すると、まず高級車の新車販売数が伸びます。
そして、みんな余分なお金は払いたくないので、だいたいは走行距離も維持しつつきれいに乗りますので、数年後に良質な中古車として返ってきます。
それをまた少しきれいにして、中古車としてもいい値で売れます。
そして、返却した客は次の車が必要で、また新車を残価設定ローンで買います。しかも、残価設定で買うと返却後、次の車を購入するには同じ会社から残価設定で買う必要があります。
こうしてまた、高級新車が売れますな(笑)
そして、ディーラーでローンを組むのでその金利も入ってくるし、ウハウハなのであります。
落とし穴
残価設定は、月々の支払いが安く、非常にお得!ではあるのですが、しっかり考えなければならない落とし穴もあります。
先ほども書いたように、走行距離やカスタマイズには制限があり、さらに次乗る車も同じメーカーで買うことが基本になります。
走行距離や傷などがあり、最初に決めた条件を満たしていない場合は、追加支払いが生じることがあります。
仮に、気に入ったとして数年後返却せずに買い取るとすれば、結局”残価”の支払いもすることになり、ただ単に高級車を買っただけになります。それも少し高めに。
そして、何よりも『金利』に注意が必要です。
例えば、600万円の新車で5年後の残価が350万円としましょう。この際、支払いは250万円だけですが、金利はこの250万円にかかるのでしょうか?
いいえ、違います。実は残価設定ローンの金利は全体の600万円にかかります。
なので、ローン返済が進んでも、残りの額(残価分)がなかなか減らないので、金利が思うように下がっていきません。結局、金利支払いが多くなります。
また、ディーラーでローンを組むことになるので、銀行などのカーローンよりも金利がそもそも高めです。お金に余裕がある人は別ですが、沼にはまる可能性もあります。
不人気でも・・・
さて、レクサスのSUVが人気でリセールバリューが高いのはわかりました。
時代の流れでセダンなどの形は人気が落ちています。
となると、レクサスでも車の型や色によれば、リセールバリューが悪いものがあるということです。
それをよくわかっている人は、中古車で不人気の型の不人気な色のレクサス車にお得に乗れるのです。
若くてやんちゃそうな人が、レクサスのセダンに乗っている・・・とかはこのパターン(かもしれません)。
これもレクサス急増の一因であります。
ふーむ、なかなか深い
では、また(^^♪